第48話 きららのケアと三人で遊ぶ
きららの話を聞いた後で、俺と薫はきららに声をかけたりして落ち着かせていた。
因みに薫は山崎に対して凄く怒っていた。
まぁ、当然だろう。原因を作ったのは山崎なのに見捨てるって言う選択はあり得ない事だ。怖いのは分かるがせめてきららを逃がそうとするとか、助けを呼びに行くとか、通報くらいはしないと話にならない。男たちに立ち向かったらカッコいいが、ボコられるだけだろうから、そこまでしろとは言わないがもっと方法はあったはずだ。
「ありがとう二人とも……もう大分落ち着いたよ」
きららは笑顔でそう言って来た。
まだ恐怖心は残っていると思うが、手の震えとかはなくなっているのでかなり落ち着けたのだろう。
「本当に大丈夫か?」
「うん!大丈夫!二人が一緒に居てくれたから心強かったよ」
「本当に何事もなく終わって良かった……きららちゃんに何かあったら凄く悲しいから」
「全部二人のおかげだよ。来てくれてありがとうね……それにしてもあの人たち何で逃げて行ったの?」
「それだったら実はね、私も前にあの人たちにナンパされてた所を海斗君に助けられたんだ……それにあの人たちは海斗君が怖いみたいだね。今回も海斗君を見て逃げて行ったからね」
「そうだったんだ……薫ちゃんもなんだ……」
まぁ、間違いなく俺の噂でビビってるんだろうな……確かに俺が転生する前は年上と喧嘩して勝ったり、なんだったら10対1とかで勝ってたしな……それもほぼ無傷でな。そんな感じで王豪海斗っていう人間はチート人間だ。意味が分からないよな。
それに今また同じことが出来るかって聞かれても出来ると思う。自意識過剰でもなんでもなくな……まぁ、出来るだけ暴力は避けたいけど。
「そうなんだ!今思えば私はその時から海斗君の事が気になってたかもね。海斗君って安心感凄いでしょ!」
薫はきららを和ませようとニッコリとしてそう言った。
ていうかそうだったのか……そんなに前から気にしてくれてたんだな。
薫のそんな言葉を聞いたきららが俺の顔を見てきた。
そして目が合ったと思ったらきららは、ちょっと顔を赤くした後に俯いて言った。
「うん……そうだね」
「だよね!」
そしてそう言う薫は嬉しそうだ。
そんな時だった。
(ピコン!)
誰かのスマホの通知が鳴った。
「あ、私だ」
そう言ってきららはスマホを手に取った。
「あ……」
スマホの画面を見たきららは少し複雑そうな顔でそう呟いた。
「どうした?」
「何かあったの?きららちゃん?」
「えっとね……真からメッセージが来たの『大丈夫?』って……」
大丈夫って……マジか。
山崎が逃げてからもう30分は経ってるぞ……時間を置いて冷静になったのだろうか?
ていうかそんな事言っている時間があったら、今でも助けを呼ぶとかできる事はあるだろ。
そしてきららがそう言うと薫は怒って言った。
「そんなの無視で良いよ!」
「でも、返信しないと通報とかされそうだし、一応一言だけ返信するね……大事になっておじいちゃんとおばあちゃんに心配をかけたくないし……」
確かにおじいさんに関しては入院している訳だしな。警察沙汰になれば間違いなく連絡は行くだろう。
きららは自分よりおじいさんとおばあさん優先って子だしそう思うのも納得がいく。
それに通報されてもあの男たちに関しての情報は全くないからどうしようもないしな……大学生っぽいが実際には分からないしどこに住んでいるのかも当然知らない。
そんな訳で俺たちに出来る事はない。
でもあの人たちは俺を見るとあり得ないほどビビっていたし、再び薫やきららが被害にあう事はないと思う。
それにこんなことを繰り返している奴らなんだし直ぐに捕まだろう。
そうしてきららは山崎に『大丈夫。たまたま通りかかった人に助けてもらった』と送っていた。
そう送った後にすぐ返事が来た。
『良かった……無事だったんだ』
『うん。大丈夫だから気にしないで。今ちょっと忙しいからごめんね』
きららはそれだけ送ってスマホの通知を消した。
「本当にあり得ない!!!良かったって何なの!きららちゃんを置いて逃げた癖に!大体原因を作ったのは真じゃん!!!あの人たちがそう言う人間だってのもあるんだろうけどさ!!きららちゃんがどんな思いをしたのか全然わかってないよ!!!逃げて何もしないなんて信じられないよ!!!」
薫は今までで一番怒っていた。
きららが危険な目にあって本当に心配だったのだろう。
「薫ちゃん、私は大丈夫だから落ち着いてね」
「でも……やっぱり私は凄くモヤモヤするよ……」
「私の為に怒ってくれてありがとうね。でも本当に大丈夫だからさ!」
それを聞いた薫が一息ついてから言った。
「はぁ、きららちゃんがそう言うんだったら良いけどさ……でも次真と会うときからは普通には話せなそうだな……」
「それは……私もちょっとそうかも……怒っては無いけど、ちょっと思う所はあるかな」
まぁ、それはそうだよな。
きららは結果的にあの男たちを押し付けられた形な訳だし、薫も大切な親友が危ない目にあわされた訳だし、二人がそう思うのも当然だ。
「そうだよね……まぁ、真が悪いししょうがないよ」
「そうだね……そ、それより薫ちゃんと海斗君は二人で何をしていたの?」
きららはちょっと暗くなっていた空気を変えるかのようにそう言って来た。
「一応、デートだな。映画を見て来て何しようかって時にきららが襲われてたって感じだ」
「え?ごめんね……それだったら二人はもう行っても大丈夫だよ!」
「それは無理だよ……」
「そうだな。流石にそれはな」
流石にこの状況できららを放置しておく事は俺としても難しい
「でも、デートの邪魔しちゃってるし……」
きららは申し訳なさそうにそう言って来た。
「ううん!そんな事無いよ!せっかくだし三人で遊ぼ!海斗君も良いよね?」
「勿論俺は良いぞ。でもきららはこの後用事とか大丈夫か?」
「用事は無いけど本当に良いの?」
「うん!」
「それらな三人で遊ぶか」
それから俺たちはきららが元気になれるようにカラオケに向かった。
◆
――俺たちはカラオケを楽しんで帰っていた。
カラオケでは二人とも凄く楽しんでいて薫もきららも笑顔だった。
見た感じきららは今日の事を引きずってトラウマになるとかは無さそうで良かった。
「それにしても二人ともすげー歌うまかったな」
「薫ちゃんは本当に上手だけど私は全然だよ」
「そんなことないよ、きららちゃんも上手だよ。ていうか海斗君だって凄く上手だったよ?」
「たしかにそうだよね、上手だった!」
上手と言ってもこの二人と比べたらそんな事は無いと思う。
ていうかきららも上手なのは間違いないが薫に関しては、素人のレベルじゃないと思うくらい上手だった。動画サイトで上げたらかなり伸びるんじゃないか?声もきれいだしな。
「まぁ、二人に比べたら全然だけどな。でもありがとう」
「ふふふ、全員上手だったって事だね!」
「そうだね。今日は楽しかった!ありがとう二人とも!私まで混ぜてもらっちゃって」
「全然だよ!私たちも楽しかったもんね!」
「そうだな。俺も楽しかったぞ」
――それから暫く歩いていた時、きららは言った。
「でも二人には助けて貰ってばっかりだなー」
「そんなことないって!大体助けるなんて当たり前だよ!気にしなくて大丈夫!」
「俺も気にしなくていいと思うぞ。薫の言う通り友達なんだし当たり前だぞ。それに助けたいから助けてるだけだしな。」
こうは言ってみてが実際は友達じゃなくても助けていただろう。
ゲームでのヒロインだからって言う事も勿論あるが、そうじゃなくてもだ。流石にあの状況で放っておくなんてことはしない。
「ありがとうね。本当に二人とも優しすぎるよ!」
「私だってきららちゃんには助けられてるからね!」
「そうだな。俺もまだまだ家事をして貰わないとだしな」
「はは、でもそれはお金を貰ってるじゃん!私が助けられてるだけだと思うな」
「そんな事無いって。俺からしたら凄い助かってるからな?」
「海斗君は家事めんどくさいって言ってたもんね」
「分からんけど、男子高校生だったら皆そうじゃないか?」
前世でもそうだったしな。
男子高校生どころか成人してもめんどくさかった。
まぁ、掃除はそれでもちゃんとやっていたが料理とかは全くしていなかった。
洗濯もためてギリギリまでしてなかったし……
「そうなんだね。それじゃあ明日からも頑張るね!」
「あぁ、頼むな」
俺はその後きららを家に送ってから、薫も送って家に帰った。
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