第18話
「……全く、素直じゃあないだから」
一人残されられた昴は、さっきまで渚がいたテーブルを見つめながら、小さな声で呟く。
「だけど、そんな、きみの事が心配だから、僕は、あの日から、きみの傍にいるんだけどねぇ?」
4年ぶり(高校卒業以来)に再会した親友は、どういう訳か、探偵事務所で働く探偵になっていた。
そして、俺自身も、いつの間にかこいつの仕事を、いやぁ? 渚は、この6年間ずっと自分の元から居なくなった(正確には父親の転校だけど)美緒さんの居場所を捜し求めていた。
渚がサラリーマンから探偵に転職したのも、美緒さんに関する情報を集める為。
だけど、この6年間、美緒さんを見つけることはできなかった。
だからこそ、あいつは俺を……いやぁ? 俺が、持つ特殊能力(透明化)を利用することを考えた。
俺の特殊能力「透明化」は、自分の身体を透明にできるだけではなく、自分が触れている間、自分以外の物も透明化することが出来る。
その為、俺は、なるべく、素手で他人に振らない様にしていた。間違って触れた人を透明化しない様に。
あと、この特殊能力にことは、家族勿論、友人にも決して話せなかった。
それなのに、何故か渚だけは、自分が隠していた特殊能力のことを知っていた。
「鳴海坂は……消すんだろう? 自分の身体? だったら、手伝ってくれないかな? 俺の仕事」
★
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます