記憶の中で見たもの

 敵が一気に増えたのでその場に戦慄が走った。

『最初からいるやつは任せたわよ!ブラックドラゴン!ゴー!』

 通信器から声が響いた。

「了解した。クリムゾンドラゴン!!ゴー!!」

 メルフィーアはいつもより気合いを入れてレバーを握った。

 ブラックドラゴンは黒い剣を取り出し、構えた。

 それはクリムゾンブレイドより細身の剣。

 何らかのエネルギーが込められているのか

 濃い色のオーラを纏っている。

『行くわよ!!黒竜斬!!』

 ブラックドラゴンの剣に黒い竜が纏い、敵を斬り裂いた。

 ーーーーグシャ!!ガシャガシャ!!ガラガラ!!!!

「おおっ!!わたしも負けてられないぞ!!」

 メルフィーアはレバーを握り、狙いを定めた。

「クリムゾン・ヴァルカン・クラッシュ!!」

 ーーーーゴゴゴゴゴゴ!!!!

 グシャァァァァ!!!!

 クリムゾンドラゴンは炎纏った大剣で化け物を叩き切った。

『なかなかやるわね!一気に片付けるわよ!!』

 通信機のスピーカーから黒いドラゴンにいる女性の声が響く。

 そして、黒いドラゴンが剣を持って構えると、その剣は不思議な色を放った。

『破邪!暗黒剣!!』

 その剣で化物達を不思議な模様を描きながら切り裂いた。

 それはまるで五芒星のようだった。

『・・・・・アレハ・・・ヤツラト抵抗スルモノノ証・・・エルダーサイン・・・・!?』

「どうした?ジェネシス」

 メルフィーアはジェネシスが漏らした言葉に反応した。

『・・・・ナンデモナイ』

「一気にやられたな」

 メルフィーアの言葉は少し悔しそうな言葉を漏らす。

『ハッ!!』

 黒いドラゴンは敵を斬り裂き終える。

 その瞬間、ヤツラは砂となって散った。


 ・・・・なにか不気味な音が響く。


 その音が続いたあと、破壊された化物の破片は

 一つにまとまり不気味な幾何学模様の怪物が出来上がった。

『・・・・まさか、合体してくるとはね』

「この手合いのやつはコアを破壊しないと再生する」

『あらら・・・よくわかってらっしゃること』

 黒いドラゴンのパイロットは漏らした。

「すまないが、ここはわたしに任せてもらえないだろうか?」

 メルフィーアの表情も言葉も真剣そのものだ。

『いいわよ!派手にやっちゃいなさい!』

「その言葉、有り難く受け取るぞ!」

 メルフィーアはドラゴンを操作し、構えた。

『ブラックウィング!!』

 黒いドラゴンは背中に羽根を生やすと空へ舞い上がった。

 そして、細身の剣をかざした。

『蒼龍陣!!』

 クリムゾンドラゴンの周りに蒼く光るオーラの様なものが出現した。

『わたしの魔力で結界を張ったわ』

「すまない」

 メルフィーアは通信に対して言葉を返すと集中した。

 魔力の流れを見る為だ。

「クリムゾン・ウィング!!」

 クリムゾンドラゴンは紅い翼を生やし、上空へ舞い上がった。

 クリムゾンドラゴンは巨大なクリムゾンブレイドを構え、怪物に突進した。


「ダイレクト・クラッシャァァァァァァ!!!!」


 派手な激突音とメルフィーアの声が響いた。



 合体怪物はクリムゾンドラゴンの活躍によって倒され、地球は平穏を戻した。

 メルフィーアがふと周りを見ると黒いドラゴンは姿を消していた。

「さっきのパイロットにお礼、言いたかったなぁ」

 メルフィーアは漏らした。


 その日の夜。

 クリムゾンドラゴンのサポートプログラムであるジェネシスは、ある通信を傍受した。

『ブレッド、助けに来てくれたのはいいけど』

『どうした?』

 一人は黒いドラゴンのパイロットの声。

 もう一人は男の声。ジェネシスには聞き覚えのない声だ。

『なんで、あの子にジュドーと同い年くらいの友達がいるのよ?』

『え?』

『だってわたしを助けてくれた精霊使いの男の子、わたしのことをクロフィーアとか言ってきたのよ?と言うことはあの子の顔を知っているからあの子の友達ってことじゃない!?』

『・・・確かに言われてみればそうなる』

『順当に成長すればまだ小さい筈。この星に学校あったから、多分その学校の友達だとすると・・・・なんかおかしい』

『それはわからないなぁ。しかし、ジュドーか・・・懐かしいなぁ』

『ブレッド・・・あなた、何か誤魔化してない?』

『さぁな。まぁ、今回は助けられたんだからいいじゃないか』

『それもそうね。でも、なんでアースガルドって名乗ったのかしら?自分の名前をキチンと覚えているなら、ブレッドと同じフェザーと名乗るハズなのに・・・・』


 通信はそこで途絶えた。

 そして、ジェネシスはいつか告げねばならぬ話の事を考えた。





 一方その頃、メルフィーアは夢を見てた。

 小さなベッドで寝かされている赤ん坊の頃の夢だ。

「ねぇ、ママー!メルちゃん、抱っこしていい?」

 近くにいた黒髪の女性が遠くにいる彼女らの母親に声かけた。

「起きているならいいわよ」

 優しい声の女性が返事をした。

「メルちゃん、お姉ちゃんですよ〜」

 黒髪の女性はニコニコ笑いながら、赤ん坊のメルフィーアに話しかけながら抱っこした。

「キャッキャッ」

 赤ん坊は笑っていた。

「メルちゃん、笑ってる〜。かわいい」

 黒髪の女性は嬉しそうに彼女を抱いた。そして、窓から見える星空を見せた。

「今日もお星様、きれいだね」

 黒髪の女性の声を聞きながら、赤ん坊のメルフィーアは微睡んだ。

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激突!クリムゾンドラゴン対ブラックドラゴン!! @syu-inononn

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