二千字でもこの密度!

恋人が、主人公の今は亡き恋人への想いをおもんばかって、わざわざその話題に触れてくる。その心根を理解した主人公が、元恋人の深い逸話を語り出す。それを聞く恋人の過去の場面と逸話が重なる。

とまあそんなアウトラインなのだが、個々の密度がとにかく高い。削ぎ落とし、厳選した表現で組み上がった本作は、実に無駄がない。
内容もそうだが、とにかく教科書みたいな掌編。読むべし。