第10話
早速、手話同好会の活動が昼休みに始まった。
場所がないので、教室の隅でやっていたら当然他の生徒も興味を持って来る。
講師は福田将希だ。
将希はかなり手話が上手かった。
「まずは挨拶から"おはよう"は片手の握りこぶしを顔の横で降ろし、両手の人差し指を向かい合わせて曲げる」
もちろん実際に手話をやってみせる。
それから有羽が手話をした。
「へえー。これがおはようなんだ」
加藤咲絵を始め、興味を持った女子達が真似をした。
「次はこんにちはな…… 」
将希が言いかけた時である。
「ちょっと。教室はみんなの物なんだから一部の人の為に使われたんじゃ困るんだけど」
見れば耳が聞こえないと言い回っていた子である。
「確かにこれが毎日続くとたまんない」
「ほらー。みんなそう言ってるよ」
みんなって2人じゃん。
将希はそう思った。
「分かった。先生に言って場所を確保するよ。それまではいいだろう?」
「いいんじゃない。裕美もそれでいいよねー」
他のクラスメイトに押されて裕美も渋々矛を収めた。
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