第16話

「うわぁ!結構進んだねー」

「いいから、早く写せ」

拓音はそう言うと、愛梨は夢中でノートを取り始める。

拓音が愛梨の部屋に来ていた。

「ねえ、拓ちゃん。もうすぐ誕生日だよね。何がいい?」

「プレゼントか?」

「うん」

愛梨はノートから視線を離さずに言った。

「そうだなー。マイボトル」

「いいよ」


愛梨はその翌日、コバルトブルーのマイボトルを買って拓音に渡した。

「少し早いけど誕生日おめでとう」

拓音の誕生日には、朝から晩まで仕事が入っていて一緒に祝うのは無理だからだ。

「ありがとう」

拓音の笑顔は燻んでいた。

あれ?マイボトルこの色じゃ気に入らなかったかな……


「拓音が一番喜ぶ事?それは馬場ちゃんが一緒に誕生日祝ってくれる事だろう」

宙は何の迷いもなく答えた。

「ごめんね。それは…… 」

「ただ5分一緒に祝うのも無理か?それだけでも全然違うと思うけどな」

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