黒妖精ランジェヴァン

Hiroe@七七七男姉

不吉な妖精

「…なぜそんなところに寝ておったのだ。邪魔でしょうがないぞよ」


「あ? んな、邪魔とかって…ワイは至って純粋に、この自分の部屋で寝てただけだわい」


 で、そこへあなたが急に落っこちて来たんじゃんか。やたら美人な、おねーさん。


 そう、いまからほんの数分前…突如、このミニの魔女風ドレスなんぞ纏った若い女が、就寝中の我が身の上に降ってきたのだ。


「ふんッ、好きで落っこちてきた訳ではない。たまたま吾の脱出ルート・・・・・の途中に、この貧相で死にたくなるような部屋が突っかえていただけだ」


「くっ…貧相で死にたくなるようで悪かったなッ」


 このアパートの一室の中、いまや自分と向き合う形で座った女に対し、とりあえずワイは反撃を試みる。事実はともかく。


 だが、それより何よりワイが気になるのは、


「で、なんだい…いきなり人の部屋に降ってくることといい、その魔女みたいな格好といい、はたまた『脱出ルート』やらといい、説明してもらおうじゃないか、キレイなおねーさん」


 そう、それらについてだ。


「あいや『魔女』などと無礼なッ。しかもなぜ吾が、お主のような愚かな人間どもに説明などせねば…」


 ぐきゅるるる〜っ…(レトロな空腹音)


「…うむ、ならばそうだな。なにか食べさせてもらえれば話してやろうではないか」


 打って変わってライトな調子。その長い黒髪を払いつつ、彼女がおぬかし・・・・になりました。


 うぬぬ、なんだこの女。いきなり人んちに降ってきた上に、食べモンまで要求してきやがった。


 でも、この期に及んで何の説明も聞かんのは、ワイのエッチ漫画家魂なんじゃそりゃが許さん。


 という訳で、


「しゃーない、待ってな。今なにか作るから…」


 同じくして立ち上がると共にワイは、片隅のキッチンへと向かった。

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