第25話
その人は、照れクサそうに笑っていた。
そして、帰りにもちろん名刺を渡した。アドレスを書いて…。
『…だっこしていい?』
靴を履く前に、あたしは聞いた。
だって、なんとなく寂しかったから…。
『重いから無理だよ』
って…違うし!その抱っこじゃないし!
『持ち上げるわけじゃないよ!あたしがしたいのは、ハグっ』
なんだろ。この人『天然』ぽい。
『ひっつくだけ…』
そう言いながら、ぎゅうっと抱き着いてみた。
(ありゃ…)
なんだか、あたしの心臓がオカシイ。
トクトクと脈が早い。
(うーむ…)
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