第18話
青島は現場の混乱の中で心を落ち着けようとしながらも、何か重大な陰謀が背後にあることを強く感じていた。SMAPのメンバーたちが持ち寄った情報も、少しずつ事件の真相に迫りつつあることを示唆していたが、それでもまだ全貌は見えてこない。
そのとき、突如として現場の空気が一変した。背後から、静かな風を切る音が響き渡り、青島の直感が鋭く反応した。何か、尋常ではないものが近づいている。そして、予感は的中した。
「見つけた…。」
その声が、青島の耳に届いた瞬間、彼の目の前に現れたのは、これまで見たこともないような人物だった。全身を黒いタクティカルスーツに包み、目の前で静かに立っていたその人物は、冷徹な目で周囲を見渡していた。名前はおろか、何者なのかも分からなかったが、明らかにただの一般人ではない。
「お前は誰だ?」青島が警戒しながら尋ねると、その人物はゆっくりと頭を上げ、冷ややかな目で青島を一瞥した。
「スナイパー・ウルフ。」その人物が静かに答えた。
青島はその名前を聞いて、思わず眉をひそめた。「スナイパー・ウルフ?お前がその伝説の――」
「伝説?」ウルフは冷たい笑みを浮かべながら言った。「私はただのプロフェッショナルだ。仕事をしているだけだよ。」
彼の言葉には、まるで青島の知識などどうでもいいといった無関心な態度が滲み出ていた。しかし、その目の奥には、経験と冷徹さが宿っていることがはっきりと分かった。
「スナイパー・ウルフ」とは、かつて数々の重大な事件の裏に存在した伝説的なスナイパーで、その正体は謎に包まれていた。誰もが彼の名を知っているが、誰もがその実態に触れたことがなかった。しかし、今、青島の前にそのウルフが現れたということは、何かとてつもない事が起ころうとしているのだろう。
「お前がここにいる理由は?」青島は再び尋ねた。
ウルフは無言で一歩踏み出すと、どこからともなく一枚の写真を取り出し、青島に差し出した。青島がその写真を手に取ると、それは爆発事件に関わる重要な人物、東武署の捜査本部の一員が写ったものだった。
「これを見ろ。」ウルフは低く、しかし力強い声で言った。「彼が爆発事件に関与している。いや、もっと言うと、爆発の背後で何かを企んでいる。」
青島はその写真をじっと見つめた。写っていたのは、捜査本部の中でも高い地位にいる男性で、名前はすぐに思い出せなかったが、顔には見覚えがあった。だが、それがこの事件にどう関わっているのか、青島には一切分からなかった。
「どういうことだ?」青島は写真を握り締め、ウルフに問いかけた。
「私はただのスナイパーだ。」ウルフは答える。「だが、私が追っているのは単なる人物の命ではない。今回の爆発事件の背後にある組織の動きだ。彼もその一員だと見ている。だが、証拠を掴むには、君たちの力が必要だ。」
その時、木村がウルフをじっと見つめながら言った。「それなら、俺たちも手を貸すことにしよう。お前の話には信憑性があるみたいだし、今の段階では何も無駄にできない。」
青島はその言葉に少し驚きながらも、冷静にウルフを見つめた。「お前は、誰から依頼を受けてこの事件に関わっているんだ?」
ウルフは一瞬、何かを考えるように沈黙したが、すぐに答えた。「依頼者の名前は言えない。ただ、あの爆発の背後にいる者たちは、君たちが思っているよりも遥かに大きな力を持っている。もし、この事件が解決しないまま進んでしまったら、この街がどうなるか分からないぞ。」
青島はその言葉に重みを感じた。ウルフが言う通り、爆発事件の背後にはまだ明らかになっていない恐ろしい力が隠れているのかもしれない。だが、ウルフの言葉が本当ならば、彼と協力しないわけにはいかない。
「協力する。だが、お前の手の内を明かせ。」青島は冷静に言った。
ウルフはその言葉を聞いて、再び冷徹な笑みを浮かべた。「いいだろう。だが、これだけは覚えておけ。私は目的のためなら、手段を選ばない。」
青島はその言葉に多少の警戒心を抱きながらも、ウルフの力を借りることを決断した。次第に明らかになる事件の真相。そして、次々と現れる影の人物たち。スナイパー・ウルフという新たな仲間が加わることで、事件はさらに大きな渦へと巻き込まれていくことになるだろう。
「ウルフ、お前の力を借りるぞ。」青島は決意を込めて言った。「だが、裏切りは許さないからな。」
ウルフはただ静かに頷き、そして再び冷徹な目で周囲を見渡した。
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