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「...サクヤ、声でかい」


掠れた声。


『今日は昼から飲みって言っただろっ』


「…ちょっ、耳潰れる」


噛み合わない会話。




『もーそんなんいいから早く来いよっ』


「…あー、誰んちだっけ」



『今日はマサキんち

マナにも電話してんのにあいつ電源切ってんだよ』



ぎくっ。


そういえばここに来る前メッセージが来てたから無視して電源を切ったんだった。




すーっと横目で私を見る彼は少し口角を上げる。



「……マナは、男とでもいるんじゃない?」


『…あいつ、男と俺らどっちが大事なんだよ』



その男は今あんたが電話してる男なんだけど。



軽く睨むとふっと笑った彼は



「まあ俺からも連絡しとくよ」


そう言って一方的に電話を切った。

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