第26話

ゾクっとした。快感ではなく悪寒だ。吐き気がした。胸の先にチクっと痛みが走る。


『痛っ!』


彼は歯を立てて噛んでいたのだ。むかついた。


自分でも力はある方だと思っていたが、やはり男の力には、かなわない…。


くやしい。嫌がってもやめてくれない。パンツの中にも手が入ってくる。


(触るな!やめろ!)


声にならない。


ドラマや映画の様に誰かが助けてくれる訳でもない。しょせん自分の身を守るのは自分なんだ。


このとき悟った。



ムリヤリ触られる体は、あちこちが痛く、頭の中で呪文の様に繰り返していた。



(痛い痛い痛い痛い…)

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