群衆の中の、いち

ありもと優

第1話





 華やぐ小鳥のさえずり

 風が木の葉を揺らし

 花を散らす

 目を閉じて

 降りそそぐ星の砂

 月 美 生

 山の水が答えをくれる




 朝と夜に挟まれて

 移りゆく思考と

 形を変えゆくこころ

 つよく つよく 

 惹かれ引き合うガラス玉

 ここにいたんだね

 生命の力をかき分けて

 わたしも地球に迎えられた




 複雑な糸のからまりが

 時に 一途を離れさせる

 透明に手を透かしたなら

 気持ちはぼんやり揺れていたりする




 生きることに疲れたりもする

 何億の人間の生きる道

 休めない日常を ひとり抱える人

 底沼のかなしみに 澱むこころ

 助けてと言えない女の子の なみだ

 ひとつひとつが

 ありのままの現実

 吹き荒ぶ風は冷たいけれど

 だから 時にやさしい音を聴かせる

 夢の世界の扉だって あるんだ




 眠る前に ちいさく

 愛の人へおやすみと思うこと

 返答はなくても 

 あたたかい毛布にくるまって

 お気に入りの相棒と一緒に眠れるんだ

 静かな夜が涙を溶かすよ




 

 緑の葉が群れをなして

 季節のなかに帰る

 そのたった ひとつ

 そのたったひとつが

 教育を超えた大事な教え




 きっと わかるときがくる

 煩悩のどよめきを蹴散らして

 すっきりした こころ

 なんでもない水がおいしい

 自然からの純粋な贈り物

 感動と感謝をワンセットにして

 魂に記憶が降り積もる




 ビー玉おはじき遊び

 言葉選び遊び

 やさしい空気が そよぐ響き

 いつだって そうだよ

 いつだって 

 群れの中のひとつは

 あなたの胸の奥に宿っているよ

 


 







  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

群衆の中の、いち ありもと優 @sekai279

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ