ep.4 ◇ "retourner dans le passé"
4 ◇ MONOLOGUE : Vie après la mort 《あの世》
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4章 モノローグ
あの世って、本当にあるのかな
ーハル
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◇◆Haru◆◇
今日もここのパン屋さんのパンは美味しい。
それはきっと私たち非魔術師だけじゃなくて魔術師さんたちもそうなんだろうなと思う。
あそこにいるのはよく見かける魔術師さんたち。今日はなんだか悲しそう。
こうしていれば、私たち、普通の同じ人間なのにね。
私たち非魔術師には、《あの世》がない。
だから私には「視える」んだ。今日もほら、そこに先日亡くなったおじいさんが座ってる。
この世界は死者で溢れかえっている
でも死んだ人は魂しかないんだって。だから、見えない人には見えないらしい。
この前友達のマリィちゃんに「ほら、そこに赤ちゃんがいるよ」って言ったら、「何言ってるの?」って言われちゃった。
マリィちゃんには見えないんだ…ううん、見えないのが当たり前
私も死んだらこうやってこの世をさまようのかな…
誰とも交わることもなく、お互いの姿が見えることもない、果てのない孤独
ただ、あのおじいちゃんは確かにベンチに「座って」いるから、物体だけは共有しているのかもしれない。
生者と死者も、互いに見えることも、交わることもないから、互いに体をすりぬけていく。
だけど、昔ほどはっきり見えなくなってきたのは確か。
昔はもっと実体のように見えたから、ぶつからないように避けて歩いた。
お母さんも心配して何度も病院へ連れて行ってくれたんだけど、特に何の異常も見当たらなかった。
私は変な子なのかもしれないって、何度も思った
エコール(小学校)に入学してからもやっぱりなじめなくて、私は1年学校をお休みしている。
行き始めたのは……《マリア》様の噂を聞いてから。
もしかしたら、世界が変わるかもって、なんとなく思ったの
いつか本当の天国に導いてくれる《マリア様》
だけど
あなたは本当に《マリア様》なの?
なぜだかみんな信じてる
ううん、きっと、みんな何かに縋りたいだけ
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