Noah's secrète 《ノアの秘密》
◇◆Noah◆◇
先ほどの先生たちからの話を聞いてエリックが心配になった俺は、礼拝堂から教室への移動中、ロンに「放課後、エリックの様子を見に行こう」と声をかけた。
ロンは、今日の放課後は行かなければならないところがあるからその後一緒に行ってもいいかな、と言うから、ロンの用事の後一緒に行くことになった。
ロンは何か知っているのかな。あいつもいつも一人で抱えがちだから時々心配になる。
そんな俺の心配を見抜いたのか、「大丈夫だよ」ってふわっと笑うから、俺はいつもつられて笑ってしまうけど、ロンお前、本当は大丈夫じゃないんだよな?最近、昔よりあまり笑わなくなったのを俺は知ってる。
俺とロンは、物心ついたころからの幼馴染だ。
俺は昔から背が高くて、大体背の順でも1番後ろなんだけど、ロンは昔から真っ白でクラスでも1番か2番目に小さくて、俺と一緒に並んでると2学年も違うように見られることも多かった。
だけど、小さいし見た目儚げなくせに、実はすっごい負けず嫌いなんだよな。多分、あいつのいいところ。
芯が強いっていうか、いい意味ですごく、真面目。ダメなことはダメって言うし、自分よりでかいやつ相手でもそこは引かない。俺も、それは意外だと思った。
…普段は、そう…いつも笑ってふわふわしたんだけどな。
今も穏やかなのは変わらないけど、最近はいつも何か考え事をしているようだ。
あいつがどのくらい知っているかわからないけど、俺とロンの間には深い関係がある。
魔術師が抱える《秘密》…それは想像以上に奥が深くてややこしい。
言いたいけど言えないこと、絶対に言ってはいけないこと、本当は隠していたくなんかないのに
ごめんな、ロン。俺はお前に話していないことが沢山ある。これは「絶対に言ってはいけないこと」だから、言えないんだけど。
だけど俺は知ってる。もうすぐ世界が動き出すことを。
隣で笑うお前は、何を知っている?
世界のこと、魔法のこと、そして……お前自身のこと
俺は、意味を持って生を受けた
みんなどうなのか知らないけど、俺には生きるためにはっきりとした《理由》と《目的》がある
…そしてそれらはすべて《秘密》に起因している
俺の使命…それは……
…いや、今こうしている時間が大事だから、俺たちはたわいもない話をしながら教室へ戻った。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます