第4話 お局の冷たい視線
ICUの忙しい夜勤が終わりに近づいていた。祐介は患者のモニター記録を確認し、カルテに記入していたが、その内容に白井杏子が目を光らせる。
「坂本くん、これ、何のために記録したの?」
低く冷たい声に、祐介はびくりと肩を震わせた。
「えっと…患者さんの状態をちゃんと書いたつもりですけど…。」
「つもりじゃダメなのよ。この記録じゃ何も伝わらない。こんなの、無意味な落書きと一緒!」
祐介は言葉を失った。確かに内容に不備があったかもしれないが、ここまで言われる必要があるのだろうか?
「お局らしいわね。」
そんな祐介に声をかけたのは、優しい先輩看護師・木村だった。
慰める先輩たち
休憩室で祐介が憔悴した顔をしていると、同期の萌香と木村が心配そうに声をかけた。
「祐介、白井さんに怒られた?」
「うん…。あんな言い方しなくてもいいのに。」
木村はお茶をすすりながら笑った。
「あの人、昔からそうなのよ。厳しいっていうか、言い方がきついだけ。まあ、ベテランだから仕方ないわ。」
「お局だから、ってやつ?」
祐介は自嘲気味に言い、萌香もうなずく。
「祐介は気にしすぎなんだよ。白井さんに何言われたって、スルーすればいいじゃん。」
しかし、祐介はどうしても納得がいかなかった。
「本当にそれだけなのかな?」
彼女の鋭い目線や、少しの間も見逃さない行動力が気にかかる。嫌味なだけの人間にしては、何か違うような気がしていた。
------------------------------------------------------------------------------------------------
ここまでお読みいただき、ありがとうございます。もしこの作品を楽しんでいただけたなら、ぜひ評価とコメントをいただけると嬉しいです。今後もさらに面白い物語をお届けできるよう努力してまいりますので、引き続き応援いただければと思います。よろしくお願いいたします。
こんな小説も書いています
呪医の復讐譚:https://kakuyomu.jp/works/16818093089148082252
ナースたちの昼のみ診療所:https://kakuyomu.jp/works/16818093088986714000
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます