第1話 初陣の洗礼

ICUの扉を開けた瞬間、祐介の全身に緊張が走った。部屋の中では機械音が絶え間なく響き、モニターの数字が次々と変化している。その場にいるだけで圧倒される空気が漂っていた。


「坂本祐介くんだね。」

声をかけてきたのは、主任看護師の佐藤圭一だった。中年の男性で、短く刈り込まれた髪と鋭い目つきが印象的だ。その眼差しに、祐介は一瞬で背筋が伸びた。


「はい、よろしくお願いします!」

祐介は精一杯の声で挨拶するが、内心では不安が渦巻いていた。


初日の仕事は、患者のバイタルサインの記録と、器具のセッティング。だが、簡単に思えたこれらの業務も、現場の緊張感の中では全てが難しく感じられた。祐介は手順を何度も確認しながら慎重に作業を進めるが、隣で動くベテラン看護師たちの速さに圧倒される。


「これで本当に大丈夫なのか…?」

焦りと不安が募る中、思わず手が震える。カルテを持つ手からペンが床に落ちる音が響き、周囲の視線が集まった。


「祐介くん、深呼吸して。」

その声に振り向くと、そこにはベテラン看護師の高橋美咲が立っていた。彼女は40代前半くらいだろうか。落ち着いた雰囲気で、優しい笑顔を浮かべている。


「焦るとミスしやすいからね。最初は誰でも緊張するものよ。」

「すみません、ありがとうございます…!」


美咲の言葉に励まされつつも、祐介は自分の未熟さを痛感していた。この世界では一瞬の判断ミスが命取りになるのだ。


その夜、寮に戻った祐介は、自分の不甲斐なさに苛立ち、拳を固く握りしめた。

「俺、このままで大丈夫なのか…。」

だが、彼は自分を奮い立たせるようにもう一度つぶやいた。

「いや、まだ始まったばかりだ。頑張るんだ…。」


そうして、彼の熱血看護師としての旅が始まった。


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ここまでお読みいただき、ありがとうございます。もしこの作品を楽しんでいただけたなら、ぜひ評価とコメントをいただけると嬉しいです。今後もさらに面白い物語をお届けできるよう努力してまいりますので、引き続き応援いただければと思います。よろしくお願いいたします。


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