第7話

 翌日――ジッパは予定通り出獄されることになった。


「おい、田舎者の兄ちゃん」


 ジッパは自分に指を差して頭を傾げた。独房入り口付近で不真面目そうな衛兵が手招きしていた。


「資格の不所持で独房行きになる奴なんて最近じゃ滅多に居ないからな。変わり者のあんたの顔はもう覚えちまったよ。今度はしっかり冒険家の資格とアイテムの資格を真面目に勉強でもして取得するこったな、資格が取れたら預かってるアイテムは返してやるからさ。またここに来るといいぜ」

「資格取ったら返してもらえるんですか!?」

「ああ、何も売ったり捨てたりはしねえよ。単に管理してるってだけだ。王様の特別な命が無ければ城の倉庫で眠ってるだけだぜ。まあ少しばかし金はかかるがな」


 衛兵は親指で背後の倉庫を指差す。


「はあ……よかった~……」


 安堵の溜息をついてジッパは力が抜けたようにその場にへたり込む。


「そんなに大事なもんなら、なんで資格取らねえんだ」

「だから何度も言いますけど本当に知らなかったんですよ!」

「はは、悪かったって。本当に知らなかったんだな、妙な奴だとは思ってたんだよ」


 衛兵は笑いながら謝り、ジッパが身につけていた物一式を返却してくれる。


「……あの……鞄は」

「ああ、ありゃダメだ、鑑定した結果ランクSSのレアアイテムであることがわかったらしい。どうやって手に入れたのかまるで検討もつかないが、そう簡単には返せねえよ」


 衛兵は手をぷらぷらとさせて、ジッパを見据えると、目を細めた。


「ま、俺はそんなに規則を重んじるわけでも無いから、お前が隠し持ってる変な帽子については目を瞑っておいてやるけどよ」

「……えっと」

「『竜族』の相棒によろしくな、今度あんたと酒でも飲んでみたいもんだ、そう思わせてくれる不思議な奴だな、お前は」


 ジッパは不真面目そうな衛兵といつか酒を飲む約束を取り決めて、サンドライト城を後にした。

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