第3話 企画会議の時間だ

「おほんまァァァ!カードゲームを作るために必要な工程を話し合おう」


「全く話の脈絡がなくて意味が分からないんだけど」


ファミレスのテーブルに集まった敦と仲間たち。敦はノートパソコンを開きながら、話を始めた。


「細かい話は、誰も読まないので省く。エッセイで書いていた」


「エッセイ?誰に向かって話てんの?」


 敦は頷き、パソコンの画面を見ながら答えた。


「まずは、一話のコンセプトを振り返ってもらおうか」


「あの、あとがきのやつか」


「あとがきじゃないから!……テーマ、ストーリー、基本ルール。この部分が一番大事なのは分かるな?」


「その次は?」


「次はカードデザインだ」


 俺はスケッチブックを取り出し、いくつかのデザイン案を見せる。


「各カードのデザインを作成して、キャラクター、アイテム、イベントなどを具体的にしていく」


「それって結構時間かかりそうね」


 立川が感心したように言う。


「そうさ。でも楽しい部分でもある。次に、ルールブックを作るんだ。ゲームのルールを詳細に記述して、誰でも分かるようにする」


「なるほど、ルールブックは大事だな」


 佐々木が続ける。


「そう、その通り。そしてプロトタイプの作成だ」


 敦はプリントしたカードを見せる。


「カードを印刷して手作りのプロトタイプを作る。これを使って実際にプレイしてみて、ルールやバランスを確認・調整するんだ」


「テストプレイもするんだろ?」


 佐々木の質問に俺は真剣な表情で説明する。


「もちろんさ。テストプレイでフィードバックを集めて、必要に応じて調整と改良をするんだ」


「そして最終版を作成する。これで完成だ」


「……で、何のパクリ?」


 立川は拍手しながら、心をへし折ることを言ってきたが、俺は笑顔で応えた。


「みんなの協力があれば大丈夫だ。必ずいいゲームができる!」


 心を込めて、頭を下げる。


「一緒にカードゲーム、ラブコンを手伝ってください!」


 二人は、目を合わせ、にっこりと答える。


「「いや!」」


「ここまで話進めて断るぅぅぅ?」


「なんで俺たちがそんな変なゲームの手伝いをしなきゃいけないんだよ?」


「きっつ。きっついフィードバック」


 こうして、俺たちの初めての企画会議が終わりを告げた。明日から新学期が始まりる。新しい出会いと共に訪れる未知の冒険に、期待感とわくわくした気持ちが高まる。


 ファミレスを出たその時、佐々木は震えていた。


「母さん……」


「探したわ」


――ダダンダッダダン。


微笑みを浮かべる彼女の姿は、さながらラスボスの登場のようだ。


――ダダンダッダダン。


「取り調べよ」


「イヤァァァァァオオオオ」


 佐々木の悲痛な叫びとともに連行されていった。


なぜ、こうなったのかは。幻の0話を読んだ者のみが知る。


―――――――――――――――――――――――――――


次回「新学期」


真央「新学期ってもう2学期なの?」


敦「話のつじつまが合わなかったんだ。ほんとは入学式にしたかったよ。」

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アニマルヒロインから逃げています!【改】 新米 @mad982sousen

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