入学編
第6話 入学したはいいけれど
「やぁやぁ!
キミが周防珀斗かね?」
礼拝堂の奥、
なにかわからない
奇異なる銅像の前に
一人の少女が立っていた。
髪は銀髪。
肩ほどで切り揃えられている。
ボブカットってやつか。
ゴスロリ風の衣服を
身にまとっており
頭にはペレー帽が。
同級生ではないが
中学生ほどに見える。
上級生かな?
その手には
L字型の杖が
握られている。
持ち手が金色で
なんだか高級そうだ。
「ボクは理事長の
新妻
よろしくね!」
「へぇ、えっと
中学生ですよね?」
俺がそう言うと
新妻理事長は
にへらと笑った。
「えへへ、
よく言われるけど
これでもとっくに
二百歳は超えてるんだけどね」
「二百歳!?」
「そういう体質なんだ」
へぇ~~体質。
体質でそんなに
長生きも出来るんだな……。
「さて、案内するよ
ついてきたまえ」
「理事長自らですか」
「幻術師は常に
人手不足だからねっ」
そう言って
カツカツと杖を突き
歩いていく。
足取りは軽快だから
別に足が悪いという
わけではないはずだ。
とりあえず
ついていくしかないか。
俺は理事長についていき
校内を案内してもらうことにした。
「ここが学生寮。
キミの部屋はここだね」
ひとまず
やってきたのは離れ。
古い建物だが
作りはしっかりしている。
部屋は一人に
一つのようで家具付き。
今からでも
住めそうな感じだった。
「基本的に勉強は
個人に渡された課題を
こなしてもらう感じだよ」
「授業じゃないんですか?」
「同学年に何人も
いないからねぇ……
でもわからないことがあれば
教師──キミの場合はボクか。
ボクに聞きたまえ」
そう言って今度は
離れから戻り
教室を紹介された。
寺院の中に教室があるのは
奇妙な感じがする。
基本はここに集まるようだ。
「あとグラウンドとか体育館とか
ああもう面倒くさいっ
地図を見たまえよ、地図をっ」
面倒くさくなったのか、
わちゃわちゃと手を振って
地図をこちらに渡してきた。
なんだか駄々っ子をこねる
子供のようだ。
「ええ!? 最後まで
紹介してくださいよっ!!」
「うちは適当なんだよ
課題をこなせば
基本的に自由行動だからさぁ
ああでも
幻術は個別で教えてるし
街に行くときは
事前に許可を取ってね」
「はぁ……」
学園っていうより
わざわざ幻術師の卵を
集めて隔離しておく
施設って感じだな……。
まぁ、きちんと
教育しておかないと
犯罪者になられても困るか。
理事長が銀時計を出して
時間を確認し始めた。
何やら予定があるようだ。
「さて次の生徒が来る。
新入生の顔合わせは
明日やるから
今日のところは
自室でゆっくりしておきたまえ
校内を探索してもいいよ
それじゃあ解散っ」
「はぁ……」
そう言うと理事長は
くるくると杖を回し
去っていってしまった。
ポツンと校内に
取り残されてしまった俺。
……とりあえず
食堂にでも行ってみるか。
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