ハーグリーヴス家の儀式

小宮結葉

Prologue: エセルウィンの扉

 私は古びた大きな鏡の前に立っていた。鏡の向こう側の静寂を満たしているのは暗闇だった。暗闇の先には、どこまでも広がる未知の亜空間が横たわっている。それは、手を伸ばしても触れることのできない幻のように揺れた。


 ——ありがとう、みんな。ありがとう、レイモンド。


 扉をくぐると同時に目も眩む閃光が走る。

 からだが砕ける感覚……。


 ああ、思いのほか柔らかい光に包まれてる。

 なんて温かいの。

 さようなら。

 みんな、さようなら。

 元気でね。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る