第3話
ふぁぁ〜よく寝たぁ〜ってまだ10時じゃん!
いつもなら当たり前に寝てる時間なのに昨日帰ってきてすぐに寝ちゃったからこんな早くに起きてしまった。
今日は何をしようかな〜なんて考えていると携帯の着信音が鳴り響く。
私に電話してくるなんて誰だろう……。
画面に表示されているのは知らない番号。
私の番号を知ってるのは両親と……氷亮。
でもその3人は登録してあるし……あ!ハズレくじ!
これに出たら絶対また学校に来いって言うに決まってる!
ぜーったいに出ないからね!!
携帯の画面を下にして机に置くとしばらくして音が止む。
あー良かったぁ〜。
安心したのも束の間、また着信音が部屋に鳴り響く。
嘘でしょ?もしかして出るまでこれが続くの?
と思ったが案外すぐに音は鳴り止み、次は大量のメッセージが送られてくる。
【ヤッホー(^o^)/ りんちゃん今日は学校来ないの?】
【りんちゃん来てよー!おれ寂しいよー。゜(゜´Д`゜)゜。】
【もしかして道に迷ってるの?りんちゃんの家まで迎えに行こうか?家教えてよ!】
これは……新手の詐欺?
いや、このりんちゃんって……。
昨日の光景が鮮明に蘇ってくる。
これ詠翔だ……。
さっきの電話も詠翔?
何だか怖くなってきた……。
ていうか何で詠翔が私の番号知ってるのよ!
このまま無視してたら本当に家に来そうだし……。
あー!もう!ほんっと最悪!!
制服に着替えて学校に向かうと、ダラダラと準備していたからか学校に着いたのは昨日と同じ昼休み。
授業中に教室に入ると変に注目を浴びちゃうからこれは不幸中の幸いだ。
教室に着いても詠翔の姿は見えない。
もしかして私の家に行ってるとか!?
いやいや流石にそれはないか。
そもそも詠翔は私の家を知らないし。
ん?待って、番号も知ってるはずないよね?
じゃあ家を知ってる可能性も……?
「フンッフッフフ〜ンッ♪今日の昼飯焼っきそっばパ〜ン♪わぁ〜!りんちゃんだー!おはよーりんちゃん!」
遠くから変な歌と共に詠翔が教室に入って来たと思ったら、私を見るなりマシンガントークで詠翔の机を私の机にくっつけ、嫌がる充佳の机も無理矢理くっつける。
「りんちゃんはご飯は食べた?おれの焼きそばパン食べる?ここの焼きそばパンすぐ無くなるからすっげーレアなんだぜ!そんなレア物をおれは掴み取ったんだぜ!?すげーだろ!?すげーよな!?な!?」
そんな詠翔を見ていると何としてでも番号を消させないと私の今後の人生に関わってくる気がする。
よし!絶対今日中に私の番号を消させてやる!!
やっぱりここは真っ直ぐ正直に消してって伝える?
思っている事を正直に真っ直ぐ伝えればわかってくれるみたいな事をどこかで聞いた事あるような?見たことあるような?そんな気がするし、よし!ここは真っ直ぐ!
「私の番号消してよ。」
「え?何で?絶対に嫌だ!」
正直者が馬鹿を見るとはこの事だ……。
「ていうか何で私の番号知ってるのよ。」
「何でって昨日りんちゃんが寝てる間にこっそり見たからに決まってるじゃん!」
「「は?」」
「アハハハハ!やっぱり2人は仲良いなー!」
いやいや笑い事じゃないよ!?
寝ている間に勝手に人の携帯見るなんて何かしらの法に引っかかってない!?この人逮捕できない!?
どういう教育を受けたらこうなるのよ!!
「あんた……」
「な、何だよサンタ、って2人ともそんな目で見るんじゃねーよ!し、仕方がなかったんだよ!……うわーん!2人がおれをいじめるよー!」
詠翔は泣き真似をしながらちゃっかり焼きそばパンを持って逃げるように教室を飛び出す。
「ごめん、私から言っておくから。」
「え!?」
今まで全然喋らなかった充佳が急にそんな事を言うから変に驚いてしまった。
「一応幼馴染だから。」
「あ、うん……ありがとう。」
「でも期待はしないで、あいつ、ああいうやつだから。」
ああいうやつだからってあの人昔からこんな感じなの!?
周りの人は何もしなかったの!?
詠翔と自分の机を元に戻す充佳を横目にそんな事を思っているとチャイムがなり、詠翔はハズレくじと共に何事も無かったかのように戻って来た。
詠翔が昔からどんな人だったかなんて知らないけど私の快適な引きこもりライフは奪わせないんだから!
何が何でも今日中に番号消させてやる!
5時間目は体育祭の種目決めらしい。
体育祭なんて出る気ないし寝よ。
机に顔を伏せるとハズレくじが黒板に種目を書く音が聞こえてくる。
この音が眠気を誘うんだよなぁ〜。
「
相変わらず詠翔はうるさいなぁ。
ていうか観山って誰だろう……って今なんて言った!?
私が詠翔と2人3脚!?無理無理!絶対無理!
飛び起きるとハズレくじが相変わらず伸びた語尾で返す。
「わりぃ〜な〜、2人3脚は男女別だ〜。」
観山ってお前か!
それより何だ、男女別か。
ふぅ〜、ひとまず助かった……。
やっぱりこの人と関わってるとろくな事が起きない、早く番号を消させるいい案を考えないと。
「はぁー!?何でだよ!そこを何とかできねーのかよ!?お前何の為に教師になったんだよ!?」
ハズレくじとは言え先生に向かってなんて事を言ってるんだ!?
驚きを隠せない私とは裏腹にハズレくじは変わらず怠そうに言葉を返す。
「うるせ〜な〜、決まりは決まりだ〜、お前はちょっと黙ってろ〜。」
「んだよ!あーあー、つまんねー。なありんちゃん!」
私を巻き込まないでよ。
「あ!じゃあさ!じゃあさ!りんちゃんとサンタで2人3脚ならいいだろ!?なあ観山!」
「「は?」」
「あ〜もう面倒くせ〜からそこの2人2人3脚な〜。」
「は!?ちょっと!観山!」
おぉ……充佳ってそんな大きな声出るんだ……ってそんな事言ってる場合じゃない!
「そ、そうよ!何で私が2人3脚なんてしなきゃいけないのよ!そもそも体育祭なんて出るつもりないし!」
「あ〜うるせ〜うるせ〜、文句ならあいつに言ってくれ〜。」
「おい!観山!」
「あ〜?あぁ〜後〜体育祭出ね〜と退学な〜。」
「は!?」
「……チッ。」
体育祭出ないと退学!?
そんなぁ……。
「まあまあ、お2人さん!青春を存分に味わおうぜ!」
そう言う詠翔に無性に腹が立ち、横目で睨むと充佳も同じく詠翔を睨んでいたらしく、詠翔は私と瞰佳を交互に見た後、目を泳がせながら席を立ちわざとらしく口笛を吹きながら教卓の裏に隠れる。
その後ろに見える黒板に書かれた2人3脚の欄にはしっかり私と充佳の名前が書かれている。
「最悪。」
「こっちの台詞よ。」
「あ、いや今のは充佳に言ったんじゃなくて……」
そう言うと充佳は怪訝そうな顔をしてすぐ前を向いてしまった。
あぁ……コミニケーションって難しい……。
あーもう!!ほんっと最悪!!
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