QUESTORS~宇宙賊と赤いバンダナ~
風雅ありす
◆プロロ―グ◆
宇宙歴263年。地球人達の科学技術は、目まぐるしい発展を遂げていた。宇宙飛行が一般化され、他の惑星に住む生命体との交流が日々絶えることはない。それ故、他星人との混血が増え、今では純粋な地球人の血を引く者の方が珍しくなっている程だ。
しかしその反面、地球は、今まさに滅びへと続く扉を開こうとしていた。
環境破壊による水の汚染、緑の消滅。人工爆発による食糧難、大気上のあちこちでオゾンホ―ルが出現し、核爆弾の爆発による放射能が地上を覆った。
そして、地球人は地下に居住地を持つか、月に移住するなどをして生活し、地球からの日の光を浴びる事が出来なくなってしまったのだ。
何が原因だったのか。初めは、豊かな生活を求めて開発されていた筈の科学が長い年月を経て、多くの犠牲を出した。それが善か悪かを判断する事は難しい。全ては、運命と言う名のレールの上を走っているだけに過ぎないのかもしれない。
しかし、自然の摂理に反し、人類繁栄の為、地球の叫びも聞こえぬまま多くの犠牲を払ったことは事実だ。
このままでは、いつしか人間という種族も絶滅し、地球は生き物の住めない死の世界となるだろうことは、誰の目にも明らかだった。
今の地球に、かつて「緑の惑星」と讃えられていた面影など、どこにもない。あるのは、ただ赤茶けた岩のような塊だけだ。
地球人達は考えた。月に建てられた『地球防衛軍基地』で『地球サミット』が開かれ、世界各国から大統領が集まった。
結果は分かり切っていた。今では地球環境を復活させようとする団体など一つもないのだ。人間達に残された道は、ただ一つ。聖なる故郷であるこの地球を捨て、新たなる惑星を探し出し、そこに移住すること。
この計画は、世界各国のマスコミにて取り上げられ、地球に住む人間達を混乱の渦へと巻き込んだ。
ある者は、住み慣れた地球を離れることを拒絶し、最後の時まで地球に自分の命を委ねる事を誓った。またある者は、荒みきった地球から離れられることを喜び、新たな惑星への期待に胸を踊らせた。
『地球サミット』では、その新たな惑星を探し出す役目として、『宇宙学園』で教育を受けて育った生徒達の中から優秀な人材を選び出した。彼らは、『
『宇宙学園』とは、宇宙に関する職業に就く為に勉学をする目的として創立されたものだ。各職業によって難易度は異なるが、今回はその中から特に優秀な人材が集められた。
かくして、新惑星発見の出発の準備が着々と進められた。
しかし、宇宙は広い。いくら現代の科学や技術が発達し、ある程度の宇宙飛行が一般化されたにしても、まだ宇宙の果てを見た者は誰一人としていない。地球人の不安は日々募るばかりであった。
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