2017年11月27日、1時40分 -

バスティアンと寒い夜明け前の中、孤児院へと向かう。一歩一歩が静かな緊急性を帯びている。彼の骨折には時間が重要だ。街の明かりが遠くでちらついているが、人気のない通りでは足音だけが静寂を破っている。吐く息が白くなり、まるで魂が体から抜け出るかのようだ。あと5ブロックほどで、間に合うことを祈る。

歩きながら、バスティアンが興味深そうに僕を見て、「それで、レアンドルス、君はあの孤児院に住んでたの？」と尋ねる。

「そうだよ」とだけ答え、詳細には触れない。彼はその答えの裏にある物語を期待しているようだが、今はそれを話す適切な時ではない。

孤児院が遠くに見えてくる。月明かりに浮かぶしっかりとした影のようだ。暗い窓は閉じた目のようで、隠された秘密を抱えている。心配だ。彼女がまだ起きていてくれればいいが。

建物の前に立つ。2階にある部屋の窓の下で、高さは約4メートル。どうやって2階の窓の縁まで登るか考えながら唾を飲む。柱に手をかけ、体を引き上げる準備をする。思ったよりも難しいが、努力と心臓の鼓動が報われ、ようやく縁に手が届く。

その時、バスティアンがどうやって登るのか考えていなかったことに気づく。彼を見て、疑いの色がないか探すが、そこには自信しかない。「バスティアン、登れると思う？」とささやくように尋ねる。

彼は笑みを浮かべて僕を見る。「何て馬鹿げた質問だい？もちろん登れるさ」と自信満々に答える。勢いをつけ、右手だけで壁と縁にしがみつく。

「すごいな、バスティアン。君はミュータントか何かかい？」と彼の身のこなしに驚いて叫ぶ。ためらわずに彼の服をつかんで引き上げる。

「知ってるかい？僕はいつも何かを登るのが好きなんだ」と満足げに微笑む。

「そうだろうね。君が猿のように登れることがわかって嬉しいよ。いつか山に登る必要があったら、君に頼むことにするよ」と冗談を言いながら窓に近づく。彼の笑い声が空気に温かさを与える。

「さて、ここまで来たけど、次はどうするんだい？」と彼が期待に満ちて尋ねる。窓から中を覗き、ここが正しい部屋であることを祈る。一瞬目を閉じ、勇気を奮い立たせる。指の関節で窓を何度かノックする。

バスティアンが身を乗り出して観察し、好奇心で顔を輝かせる。ベッドに横たわっていた人影が動き始め、突然夜の静けさを破って中から小さな悲鳴が聞こえる。人物は突然ベッドから飛び起きる。「レアンドルス？あなたなの？ここで何をしているの？」とエマが驚きで震える声で言う。

エマが窓を開け、僕をじっくりと観察する。「レアンドルス、顔に何があったの？大丈夫なの？」彼女の温かい手が優しく傷だらけの顔に触れる。

そして彼女の視線がバスティアンに移り、眉をひそめる。「この子は誰？何があったの？」混乱と心配が表情に混ざる。

どう説明するか迷いながら、ひとまず答えを保留する。「エマ、彼は僕の友達バスティアンだ。バスティアン、彼女がエマだよ」と紹介する。彼らの視線が一瞬交わり、すぐに僕に戻り、答えを求める。

エマが問いかける。「誰にこんなことをされたの？」その声には怒りが込められている。

どうやって詳細を伝えずに説明するか考える。「長い話なんだ。ちょっとした喧嘩になってしまって。でもお願いだ、エマ、君の助けが必要なんだ。バスティアンの腕が骨折していると思う」と懇願する。

エマは怒った表情で僕を見つめるが、最終的にはうなずき、バスティアンに向き直る。「こっちに来て、見せて」と彼に関心を向ける。感謝の気持ちが心の中で湧き上がる。

「これがちょっとした喧嘩の結果には見えないわ。でも無事でよかった」とエマは落ち着いた口調で言う。「医務室に行く必要があるわ。ついてきて」

出発する前に、エマの部屋を一瞬見渡す。もう二度と機会がないかもしれない。壁は柔らかなクリーム色に塗られ、シングルベッドには白いシーツと淡い色調のカバーがかかっている。小さな机には本の山、使い古されたロウソク、そしてセラフィ聖母の絵が置かれ、部屋に静けさを加えている。ベッドの上には神聖な棘の十字架が掛けられている。部屋は清潔で整然としているが、調和を乱すものがある。ベッドの下に血の染みた布切れが見える。心臓が一気に高鳴り、不安が僕を包む。まさか…そんなはずはない。