ビデオカメラのその向こう側には。

オカルト好きの大学生、エイミーと鏡子。
二人はモキュメンタリー動画を撮りつつ
この世の あわい を行く。
山奥の廃神社、草叢に顔を出す無花果の
低木。そして忘れられた小学校跡に
紫陽花の蒼。廃工場や薄暗い路地裏。
ビデオカメラを通して見る世界と現実との
陌間で、少しずつ乖離が生じて行く。

瑞々しい表現で描かれる不穏な冒険は、
記憶の奥底に佇む懐かしい怪異との邂逅。
そして彼女たちの次元の乖離は、恐ろしい
事態を招いて…。

作者が今まで書いて来た妖艶で美しく
畏ろしい怪異譚の端々が見え隠れするこの
作品は、ファンには嬉しい既視感を齎す。
勿論、初見であれば虜になる事請け合い。
ゾッとする程の美しい恐怖が立ち昇る。

彼女 は取り戻す事が出来るのだろうか。
そして、それは…本当に?

霧の中に見え隠れする それ は。