第46話 完全攻略
刀を構え直す。
「ゴフッ(止血量がマズイ、後、持って五分って所か。何か利用出来る物は?………ダメだ、目が霞んで良く見えない)」
「さっきまでの威勢はどこ行った?!」
雨宮が物凄い速さで突っ込んでくる。
「クッ!」
キンッ
既の所で刀を入れたが、しかし。
「(クソが、手が震えて力が入らない、このままじゃマズイ)」
バックステップで距離を取り、左腕から六角を抜く。
「これやるよ!」
雨宮も後ろに飛び、距離を取る。
「ゴフゥ、ハァハァ(今ので六角も最後だ、救援がくるまで持ち堪えれるか?)」
その時、俺の脳裏に師匠の言葉が浮かんで来た。
「永夢、ゲームは好きか?」
「はい、大好きです。だから、戦闘は何かを攻略していると考えています」
「なら戦闘を楽しめ」
「え?」
一瞬何を言っているのか分からなかった。
「ゲームって楽しいでしょ?君は戦闘はゲームを攻略しているようだ、って言って」
「はい」
「ゲームは楽しんでいる時に、敵の次の動きを予想したり、相手の嫌がる事をするだろ?戦闘も同じだ、楽しめ、そして笑え、そうしたら痛いのも苦しいのも忘れられる。そう考えろ、いいな?」
「は……い?」
今なら分かる気がする、戦いを楽しむ、普通の人だとそんな思考にはならないだろう、でも今はそんな倫理的に考え方はどうでも良い、頭の中に出て来た答えは雨宮に勝つ事だけだった。
「永夢!動きがかなり鈍くなったじゃねぇか、降参か?」
「卑怯な手を使って勝って、嬉しいか?」
「命の取り合いで、卑怯もクソもあるかよ!」
「フハハ、確かにそうだな、そうじゃないと面白く無いな!」
刀を構え、雨宮に突っ込む。
キンッ
「どうした、永夢!?急に笑いだして、気でも狂ったか?」
「うるせぇ、俺は至って正常だよ!」
そのまま壮絶な切り合いに入った。
「フゥー(呼吸を整えろ、心拍数、血の流れ、赤血球の数を、自分が思うままにコントロールしろ)」
次の瞬間、雨宮から血飛沫が舞う。
「クソがぁ!(なんだ?急に速くなりやがった)」
「どうした、雨宮!さっきの威勢はどこ行った?」
「(埒が明かない、一旦距離を取る)」
雨宮が距離を取ろうとバックステップをする。
「おっと、行かせ無いぞ!」
刀を逆手に持ち替え、一歩前に踏み込む。
キンッ
「クソがぁ!(なんて力だ!)」
「刀に意識が行ったな、馬鹿が」
腰からガバメントを抜き、雨宮の左足に撃つ。
バンバンッ
「ぐあぁ!」
「(これで足は潰せた、次は…)」
「離れろやぁ!」
次の瞬間、雨宮の強烈な蹴りが飛ぶ。
「(動きが単調だ、このまま避けて、カウンターを狙う)」
体を動かそうとした、しかし。
「うぉ、、」
背中の傷が突っ張り、動きが鈍る。
「ガハッ」
無常にも、腹に蹴りが突き刺さり、その勢いのまま後ろに吹き飛ぶ。誰もがそう思った。
「クソ(コイツ、足が刺さる直前に、刃を噛ませやがった)」
「(危なかった、まあ、コレで雨宮の両足は死んだ、結果オーライだ)」
「俺は、絶対に負けねぇ!」
雨宮がボロボロの足で、血飛沫を上げながら走って来る。
キンッ
「満身創痍だろ?あきらめろよ」
「うるせぇ、!俺はあの人を超えるんだ、お前見たいなよそ者に、負ける訳にはいかないんだよ!」
「あっそう」
俺は後ろに飛び、刀を鞘にしまう。
「俺とお前との差を見せつけるために、天宮流の技を見せてやるよ」
「なんだ?居合か?そんな技聞いた事ねぇよ(刀をしまったな、今がチャンスだ)」
雨宮がトンボの構えで距離を潰した。
「貰ったぁ!」
「遅い!」
その次の瞬間、雨宮の片腕が中を舞った。
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