第22話 補習

 教室に入った時高島先生と目が合あった、手招きで教卓の前の席に座らせられた。そして隣を見ると一人の生徒が座っていた。

「先生今日はマンツーマンでの補習じゃないんですか?」

「あぁごめんね、言い忘れていました。この人も補習なんだ」

「あの…、もしかしてこの人も僕と同じ、、、」

「いや、コイツは純粋にバカなだけだ」

「え?」

 あの温厚な高島先生が暴言を言う何て、よっぽどのバカなんだろう。

「天宮くん、コイツはね勉強を舐めてるんだよ。エスカレーター式で高校に上がれるからって、基礎を全く勉強していない」

「いやぁ~、それほどでもー」

「褒めて無いわ!このバカ!!」

「あはは(つうかコイツ一三じゃね?)」

 郷田 一三(ごうだ にとり)小学生の頃から僕と交流がかなり深かった。昔から根っからの悪童で先生方が良く手を焼いていた事を覚えている。能力はCassowary(ヒクイドリ)蹴り一発で相手は地獄に行ける。

「それじゃあ天宮くんも来てくれた事だし、補習を始めようか。今日は歴史の補習です。プリントを配るからソレを見て下さい」

 プリントの束をわたされ、プリントには歴史総合問題と書いてある。

「はい、では第一問。宗教の遺跡がシルクロード上に何故多く残されて居るのかお答え下さい」

「(あー、多分あれだな。シルクロードを通った宗教に入っている人々が作っていったんだろうな)」

「はいっ、この問題一三!答えろ」

「えっ?えーと、遺跡が空を飛んで移動したから!」

「プッフウ!ゴホッゴ(思わず吹き出してしまった。こんなえげつない答えを真面目に答えるなんて、イカれてるだろ)」

「お前、大丈夫か?遺跡が空を飛んで移動するわけ無いだろ!某空飛ぶ島の映画じゃないんだから」

 この珍回答に思わず高島先生もニヤけている。

「はー、はい次第2問、ピラミッドを建設した当時どうやって資材を運んだか。一三リベンジ、どうぞ」

「風で動かした」

「?」

「昔に五十嵐先生みたいな能力者がいたら可能かもですね、どうやって風を起こしたのですか?」

「祈った」

「は?」

「はい次、第二次世界大戦時ホロコーストを起こした人の名前は?」

「え~と、アドルフ…」

「(お?、正解するのか?)」

「アドルフ、ヒッ、ヒ、バトラー。アドルフ バトラーです!」

「惜しいですねー、答えはヒトラーです、バトラーではありません」

「一三お前、元晴が聞いて無くて良かったな」

 そこから数時間真面目かどうか分からない補習を終え、帰り際高島先生に呼び止められた。

「天宮くん!」

「何ですか?」

「あなたは今日の補習の成績が、ある程度良かったので明日の補習は無しで良いです」

「マジですか?」

「オメェじゃねえよ一三」

「そうですよ、あ な たは明日も補習ですよ!」

「チッ、クソが」

「そして天宮くんは明日部活に行ってわどうですか?」

「部活ですか?」

「はい、先輩方と交流を持った方が良いと思いますよ」

「分かりました、それではありがとうございました、お疲れ様です」

 そう言って教室を出て、校門をくぐると以外な人が待っていた。

「なんだよ、出迎えか?」


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る