第5話 魔導士攻略 その2

 俺たちはセカンディアの町へ入っていった。歩いている途中で俺はイスカに言う。


「そういえば、セカンディアには冒険者ギルドがあるのか?」


 すると彼女は答えた。


「もちろんあるわよ! 冒険者が集う街だもの!」

「そうか、ならゴブリンの討伐報酬を貰おうか」


 セカンディアの冒険者ギルドは街の中心部にあった。その建物は大きく、多くの冒険者で溢れている。俺達もその中に入って行く。中は広くて人も多いので少し息苦しい感じがしたが、すぐに慣れるだろうと思うことにした。俺は受付に行くと、受付嬢に話しかける。


「すまないが、ゴブリンの討伐報酬を受け取りたい」


 俺がそう言うと、受付嬢は笑顔で対応してくれた。彼女はゴブリンの右耳のパーツを出すように言った。


 俺はゴブリンの右耳を提出すると受付嬢は奥に引っ込む。数分後に戻ってきた彼女の手にはコインの入った袋があった。それを俺に手渡しながら言う。


「はい、こちらが今回の報酬になります」


 俺はそれを受け取ると中身を確認する。中には100枚の銀貨が入っていた。思わぬ収入だ。


「では、私の家に来るか?」


 イスカがそう言い出した。今は日暮れ時。宿屋を探そうかと思っていたらイスカの家に誘われた。


「イスカの家?」


 俺が聞くと彼女は答える。


「そうよ! 私の家は町外れの丘の上にあるの!」


 俺達はその言葉に頷く。俺はイスカの言葉に甘えることにした。


「じゃあ、お願いしてもいいか?」


 すると、イスカは嬉しそうに言う。


「もちろんよ! あ……でも……」


 彼女は少し言いづらそうにする。


「どうした?」

「寝室一つしかないんだよね」

「……っ!?」


 俺は思わず息を飲む。すると、リンがイスカを問い詰めた。


「おい、それはどういうことだ? 寝室が一つしかないだと? つまり皆で一緒に寝るのか?」


 イスカは気まずそうに言う。


「いや……その……」

「まさかとは思うが、ルーカスと一緒に寝るつもりか?」


 リンの追及にイスカは顔を赤くしながら答える。


「そ、そうよ! 悪い!? だって運命の人なんだもん!」


 その言葉にリンはため息をつくと言った。


「はぁ。仕方ないか」


 イスカの家にたどり着くと俺は聞いた。


「それでどうするんだ? 本当に一緒に寝るのか?」


 俺がそう言うと、イスカは少し緊張した様子で言った。


「あ……当たり前じゃない! ルーカスは私の運命の人なんだから!」


 彼女はそう言うと俺の服を掴んできた。そして上目遣いで言う。その仕草に思わずドキッとする俺だったが、なんとか平静を保つようにした。


 それから俺達はイスカの家に入る。彼女の家は木造の質素な家だった。俺はその家の中を一通り見て回ると、早速寝る準備をすることにする。


「じゃあ、先に寝てもいい?」


 俺がそう言うと、リンが答えた。


「あぁ、いいぞ」


 だが、エルルはそれに反論する。


「ちょっと待ってください! ルーカス!」

「ん? どうした?」


 俺が聞くと彼女は言った。


「私も一緒に寝たいです!」

「いいぞ。エルルも一緒に寝るか 」


 俺がそう言うと、エルルは嬉しそうにした。それからイスカが不満そうに言う。


「ちょっと! 私の家よ? もう少し遠慮したらどうなの!?」


 すると、リンは冷静に答える。


「お前とルーカスは運命の人なんだろう? なら何も問題はないはずだ」


 だが、イスカはまだ納得できないようだった。そこで俺は提案することにした。


「じゃあ……公平に4人で寝よう!」

「……うん! 4人で寝ましょう!」


 俺の提案に二人は納得したようだ。その後、俺達は布団を用意すると、4人で一緒に寝ることにした。


 イスカの家にベッドは一つしかないため、俺は床に布団を敷いて寝ることにしたのだが……。リンとエルルがそれに反対してきたのだ。そこで話し合いの結果ベッドで俺とイスカが寝て、エルルとリンが下の布団で寝ることになった。


「ルーカス! 起きてる?」


 イスカの声がする。どうやらまだ起きているようだ。俺が返事をすると彼女は言った。


「ねぇ、ルーカスは運命の人って信じる?」


 俺は少し考えてから答える。


「そうだな……。運命はあると思う」


 すると、彼女は嬉しそうな声で言った。


「やっぱりルーカスもそう思うよね!」

「あぁ。なぁ、イスカ。俺が運命の人で良かったのか?」

「何その質問。いいに決まってるでしょ」

「そうか。ならいいんだ」

「ねぇ、ルーカス。おやすみのキスしない?」

「いいよ」


 俺はリンとエルルに内緒でイスカとキスをした。


『ハーレムの王』人数上限なし

 攻略中

 第一段階攻略済み(キス)

 エルル、イスカ

 第二段階攻略済み(セックス)

 リン

 ステータス300%


 それから俺達は他愛もない話をした後眠りについた。そして翌朝、目を覚ますとイスカが俺の上に乗っかっていた。どうやら寝相が悪いらしい。俺が慌てていると、リンの声が聞こえてきた。


「……おい! これはどういうことだ!? なぜお前がルーカスに抱きついているんだ!?」


 エルルも起きてきた。


「あ、おはようございます。……って! 何してるんですか!?」


 俺は慌ててイスカをどかすと、起き上がる。そして言った。


「……これは誤解だ!」


 すると、リンとエルルはジト目で俺を見てくる。俺は思わず目を逸らしたのだった。


 エルルが朝食を作ってくれた。パンと卵焼き、そしてスープだ。どれも美味しい。俺は感謝の気持ちを伝えることにした。


「エルルの作ってくれたご飯はとても美味しいな!」


 すると、彼女は嬉しそうな顔をした後恥ずかしそうにして言った。


「……そ、そうですか?」

「あぁ! 毎日でも食べたいくらいだ」


 俺がそう言うと、リンが口を挟んできた。


「おい、ルーカス! 私も料理できるぞ!?」


 だが、イスカはそれを聞いても動じなかった。むしろ余裕のある笑みを浮かべて言う。


「ふふん! 私はルーカスの運命の人よ? そんな私の料理が世界一美味しいに決まってるわ!」


 リンも負けじと言う。


「それはわからないだろ! もしかしたら私の方が美味しいかもしれないぞ?」


 二人が言い合いをしていると、エルルがぼそっと呟いた。


「二人共……。喧嘩しないでください」


 その言葉に二人はハッとなると言った。


「そ、そうね……」

「……すまない」


 そして、気まずい雰囲気が流れる中、朝食を食べ終えた俺はイスカに問う。


「で、俺に魔法を教えてくれるんだっけ」


 イスカはこくりと頷いた。そして、俺に聞く。


「そういえば、ルーカスは何の魔法が使えるの? 得意な魔法とかある?」

「いや、ない。俺はノービスだからな」


 その言葉にリンは驚いた様子で言った。


「ルーカス……お前、ノービスだったのか……」

「……あぁ」


 リンが俺を見て言う。


「ならどうして魔法使いになろうとしたんだ?」


 俺は答えた。


「魔法って浪漫があるからな!」


 すると、イスカは俺に聞く。


「魔法使いに転職するってことね?」

「そうだ。そのためには一度魔法を見なくちゃならない」

「分かったわ。なら、今日は手頃な討伐依頼で転職条件を埋めましょう」

「よろしく頼む」


 朝食を食べ終えた俺たちは冒険者ギルドへと向かうのだった。




※作者より

 『異世界ハーレム奇譚』最新話をお読みくださりありがとうございます。


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ゲーム転生『異世界ハーレム奇譚』~エロゲー知識で異世界無双、攻略対象とハーレムを~ 空花凪紗~永劫涅槃=虚空の先へ~ @Arkasha

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