第21話
コトが終わったあと、離すべきじゃないね、と言いかけたけど、どこかおかしいので言うのをやめた。
「外、歩かない?」
役員会議室の椅子に腰掛けて、シャツの袖にカフスを止めながら彼女の頭にのっかるもみじを眺めた。ずっとやってみたかった街ぶらデートを提案してみた。手を繋いで歩くプラトニックなのもまたいい。もしかしたらいまの僕にはセックスよりプラトニックなものの方が刺激的なのではないか。取り戻し難い
しかしおかしなもんだ。昔の妻を連れて歩くのにどうしてこうも興奮する? 現実にその過去は僕にあったはずなのに。違いは僕が歳を重ねただけ。それなのに、僕は初デートのような
彼女の服装は季節を四分の一ほど先回りしていた。ツクツクボウシが声を
「代々木公園行こうか」
「
懐かしい返事に僕は嬉しくなった。彼女の手を握る。僕らはオフィスを踊るように後にした。
竹下通り、表参道、代々木公園をぶらついた後、通り沿いのオープンカフェで足を休ませる。パラソルの下、僕は大胆にもヤングマリーの体を引き寄せ彼女の耳元で接吻をねだる。彼女が頷くと同時に僕は唇を寄せた。
僕と違って彼女は狭い時間幅で常に
「でね、あのこのショートヘア、ホント
取り止めもない話は彼女の頭の中で続いていた。
「そうそう
ひょっとしたら一番
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