第35話
集積された巨大で無自覚な=孤独=が雄吉を使って
そうなると、彼はゼロ対面社会などどうでもよくなってしまった。信念であったはずの理想社会が彼の手から溢れていく。入れ替わるように空いた理想を埋めた純度の高い-孤独-に溺れた。
9年いた会社だが雄吉の根は枯れ縮みスマイルエディットの土には張っていなかった。当然である。当初は
技能を剥がされた雄吉だったが、千鶴の-孤独-の扉を開けるまで策を
飛び地から出てこないかと呼びかけた雄吉に、千鶴は返事ができなかった。彼の発露に理解が及んでいなかったわけではないが、彼の本心を見ることができなかったのである。もしかしてそれは17の時に
結局、雄吉はスマイルエディットを辞めた。解雇される前に自分から辞職を申し出た。会社は呆気なく嘱望していた時代の牽引者を
だから待てなかった。自由な体で彼女のもとへ馳せ、彼女を
向かった先は郊外のアウトレットモール。彼女を頭からつま先までラグジュアリーで飾ってやろうと思った。誰のためか、彼女のためではあるまい。だったら彼女の好みを優先したはずだ。身につけたブランドはほとんどが雄吉の好みだった。彼女は雄吉のカンバスだった。そうして仕上げた彼女のアウトフィットに、先に理想を
すると彼の
あなたの(その正常そうな)ひとみは・・・
だれをみているの?
どこをみているの?
なにがみえているの?
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