第34話
彼女の求めに応じ二つの醜眼を-孤独-から引っ張り上げようとした。ひとつは彼女のではなく彼の理想に姿を変えた。だがもうひとつは
千鶴は雄吉に伝えた。
(救ってくれたのはあなただけだ)と。
そのメッセージは雄吉を震えさせ有頂天にした。
(もういいのか?)
珍しく
(私が間違っていた)
(何を?)
(救うのはあなたではない)
彼女の言わんとするはその役目は自分だったということだ。
雄吉は頷いた。焦りや余分な助力や
(もっと救える、君を)
千鶴は雄吉の
(もっと。もっとだ)
この不完全なる手話にはおそらく(解放する)或いは(飾る)が省かれていた。一方、千鶴の瞳は
(だから)
結局、彼は待てなかった。焦りから自制の効かない
(そこから出てこないか)
千鶴の治ったはずの瞳が行き場を失い右に左に揺れていた。
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