#エピローグ・3 デイルの手紙

                     January 1, 2139

親愛なる エリーへ


こんな手紙を君に出すのは初めてのことだからうまく書けるかわからないけれど、なんだかどうしても書きたくなってしまった。

きっと、一緒に旅をしていたときに、アリエがよく日記を書いていたから、その影響もあるだろう。

言葉を書いて、過去を振り返って感傷に浸るだなんて、自分の趣味ではない、そう思っていた。

だけれど、言葉を紡ぐということは、誰かに分かってほしいからなんだろうな。そう思い始めている。そしてきっと、一番自分のことをわかってくれないのは、自分自身だ。俺は君と、俺自身の為に、この手紙を書いているんだ。

君が死んだとき、俺は絶望の淵に立たされた。幸い、目が見えるようになったから、これを利用して、犯人を殺す旅に出た。

俺の心はすさんでいた。何もかにもが敵として見えて、そして人々は遠ざかっていった。

だが、俺は乗り越えることができた。それはアリエのおかげだった。彼女が俺を支えてくれた。最初は付いてくるのが煩わしかった。だけれど、彼女の純粋な心が、俺の氷をとかしていった。アリエは、俺のことを”相棒”だって言うんだ。二回りほども年の違う、この俺を。笑えるよな。だが、暖かかった。子供のできなかった俺にとって、彼女は娘のようであり、理解者のようであり、親友だった。

少し、おかしくなるよ。そんな関係の間柄こそ、きっと”相棒”というのだろうな。そう思い始めている自分に気づく。さっきは笑える、とまで書いたこの俺が。

少々長くなってしまった。紙面も足りなくなっている。この手紙は、君の墓の前に埋めることにするよ。

そして、一緒に花束を贈る。君が好きだったヒヤシンスだ。

では、さようなら。


               君が天国で幸せであることを祈る。


               デイル・マイルズ

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Prayer Fragments アオイオ @_aoio_

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