【#16】空中庭園へ

 ガーゴイルを撃破した俺達は、フワンちゃんでガンガン上へと進んで行った。そして、雲海を突き抜けた先に現れたのは──!!


「あぁ!? やっと着いたーーーーー!! 空中庭園ーーーーー!!」


 目の前に広がる美しい自然。雲海に浮かぶ小島の上に、金色の大麦が風にサラサラと揺れていた。


 これが"黄金麦芽おうごんばくが"の原料となる大麦らしい。


 :キターー!!

 :絶景かな絶景かな

 :とりあえず第一目標達成だな!!


「アヤカちゃん!! 採取するよー!!」「はーい!!」


 そうして、俺達は採取作業に入った。


「【ウイング・ブラスト】ーー!!」


 まずはティーシャが風の魔法によって刈り上げる。空中に出現した風の鎌が次々と大麦を刈っていく。


「おぉーー!! 大漁大漁♪」


 その間に、俺が獲れた大麦を素材専用の魔法カバンへと詰め込んでいく。


 ティーシャが魔法で頑張ってくれている分、俺は回収の方で役に立たねば。


 今は酔っているおかげで身体能力が上がっており、辺りを走り回る作業も全く苦とは思わなかった。


 :す、すげぇ……

 :酒クズちゃん、あっという間に麦を積み上げていくな!?

 :やっぱ【酔剣】の強さハンパねぇ〜!!


 しばらくその流れを繰り返した後、ティーシャが向こうから呼びかけてきた。


「アヤカちゃーん、お疲れ~!! もうこれだけあれば足りると思うから、いったんお昼にしよっかーー!!」


「了解で~す!!」


 ◇◆◇◆◇


 草原の上にシートを広げて、ランチタイムに突入した俺達。


 そこでティーシャが出してきたのが……。


「じゃーん♪ おにぎり作ってきたよ〜♪」


「おぉ!?」


 弁当箱に綺麗に詰められたおにぎり。


 ま、まさかこんなところでティーシャの手作りおにぎりが食べられるなんて!! 夢みたいだ……!!


 :おいおい。ティーシャのおにぎりだって!?

 :羨ましいなー!? 酒クズちゃん!!


「い、いただきまーす!!」


 みんなの嫉妬のような念を受けながらも、俺はティーシャのおにぎりにかぶりつく。そのお味は──。


「んん~!! 美味しいです~~!!」


「ホント!? よかった~~♪」


 俺の率直な感想に対し、嬉しそうに胸をなでおろすティーシャ。


 なんとも至福の味だった。程よいお米の塩味が、労働で流した汗を完全に補ってくれる。

 こういう大自然の中で食べるおにぎりって、不思議と美味いんだよなぁ……。──そうだ!


「ティーシャ、お酒いただいてもよろしいですか?」


「どうぞ~♪」


「では……」


 俺は焼酎の入った水筒を取り出して、トクンと口元へと運んだ。そして、そのまま一言。


「うはぁ~~!! たまんねぇ~~~~~~!!」


 :ホントに美味そうに飲むなぁ……

 :青空の下で飲む美少女!! まるでCMみたいだな!

 :実際、酒クズちゃんの飲みっぷり見て酒買ってるヤツいそう


 そのまま一気に手が進んでしまい、用意されたおにぎりはすぐに無くなってしまった。


「ごちそうさまでした~!」「ピィ~!!」


 流石はティーシャの作ったもの、というべき美味しさだった。


 俺はフワンちゃんとたわむれつつ、ティーシャに質問する。


「それで……次はキラキラバチのハチミツですかね?」


「うん!」


 ティーシャは地図を展開しながら言う。


「この近くに”天空の森”があるから、そこで採取しにいくよ!! もうひと頑張り──いってみよー!!」


「おー!!」


 昼飯も食べて、酒も飲んで元気チャージ完了!! やる気は十分だった。


◇◆◇◆◇


 そして、”天空の森”へと入った俺達。しばらく進んで行くと……。


「うわ……綺麗!!」


 森の奥で七色に輝くハチの巣を見つけた。樹上から差し込む光でキラキラと輝いている。


 ティーシャは息をひそめながら語る。


「あったね。キラキラバチの巣。じゃあ、これを使おう」


「それは?」


「”ハチ避けのお香”っていうアイテムだよ。これを巣の近くで焚けば、一定時間はハチの動きを鈍らせる事が出来ると思う。その隙にハチミツを拝借はいしゃくしちゃおう!」


「おぉ!」


 :なるほどな

 :流石ティーシャ。準備にぬかりがないな

 :でも、そのままの装備だと採取する時に刺されちゃわないか? ハチが完全に停止するわけじゃないんだろう?


「ご心配なく。この防護服でお肌もしっかりガードするよ~」


 ティーシャに手渡されたのは、対ハチ用の白い防護服。まさかハチミツ獲りもするなんて……まったくつくづく新しい体験ばかりだな。


「それじゃ、いくよ?」「ハイ!!」


 そして、ティーシャはお香に火を点けた。周りに白い煙が広がって……ハチ達の動きが弱まった!! 今だ!!


「とりゃぁ~~~~~!! ハチミツ寄越せぇ~~~~!!」


 「ブンブン!」とキラキラバチがまとわりついてくるが、どうにか振り払いながら巣へと近づいていく。そして──。


「おぉ~~~!! すごぉ~~~い!!」


 巣をがすと、トローリと透明なハチミツが出てきた。同時に、辺りに甘い匂いが漂う!! これが天然物のハチミツかぁ~~……。


「アヤカちゃん!! あっちにもあるよ!!」「行きましょう!!」


 そうして、辺りにあったハチの巣からハチミツを回収していき──必要なだけのハチミツを確保する事が出来た。


 回収作業を終えたティーシャは、満足げに俺と顔を合わせて言った。


「これで二つ目の材料ゲットだね!!」


「えぇ!!」


 俺はハチミツを入れた魔法カバンを片手に頷く。今のところ順調。そして、最後に残った材料は──。


「あとはワイバーンの尻尾……ですね!」 

 

「うん! 強敵だけど……やっちゃおう!!」


 こうして、俺達は最後の材料『ワイバーンの尻尾』を獲るため、 天空の森の更に奥地にある”ワイバーンの巣”を目指す事となった。

 

 

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《リメイク版》どうも、酒クズ女サムライです。~呪いの妖刀でTS美少女と化した俺、【酔剣】使いの酒クズ女配信者としてバズリまくる!?~ 深海(フカウミ) @hukaumi

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