第4話 【無限エリクサー】
俺はヨーロッパ風の街アレンバルツに戻って、夜の街をフラついていた
安全地帯の街からはいつでも、マイルームにワープ出来るので、夕食を食べたらさっさと戻ればいいのだが、頭がモヤモヤして夜風を浴びたかった
(はあ~、エリクサーもまだ残っていたのにダンジョンから逃げちまった。こんなんでデスゲームをクリア出来るのか?)
俺がこの4日間、モンスターに殺されず生き残れたのには理由がある
【共通スキル】の【槍術】と【無限エリクサー】のおかげだ
このゲームは【スキルスロット】にスキルをセットして、初めて何らかの能力を使えるようになる。【固有スキル】は強制的にセットされていて、他に適宜変更出来る【共通スキル】の2枠のスロットが空いている(最大9枠まで増えるらしい)
俺はスキルを買いに行ったショップでまたしてもガチャを発見して引き、槍術と超レアな無限エリクサーを手に入れた
槍術の効果は、長柄武器を巧みに扱えるというもので、なんとか俺はまともに戦えるようになった
そして無限エリクサーは、12時間に1本、アイテム:エリクサーを生み出すというスキルで、エリクサーの効果はHP、MP共に全開、状態異常回復、欠損回復、完全健康状態になるというとんでもない壊れアイテムだ。ただしエリクサーは2本までしか保持出来ず、譲渡や売却も不可という縛りもあったが、このスキルのおかげで、俺は心に余裕を持ってダンジョンを攻略できた
俺はいつもエリクサーを2本使い切るまでダンジョンで稼ぐのが日課だったが、今日は気分が乗らず帰ってきた
いや、気分が乗らないというかブラッドベアを見て絶望を感じた。俺がレート60を超えるのはいつの日になるだろう
レート差を埋めるのが固有スキルだったはずが、俺は奴隷商人スキルを使いこなせていない
一応、使い方は思いついた。奴隷を作るのに同意が必要と言っても、どのような形で同意を取るかまでは指定されていない
プレイヤーを捕まえて、拷問すればいいのだ
「俺の奴隷にならないと殺すぞ」と言ってHPを減らして脅せば、大抵のプレイヤーは諦めて奴隷になってくれるだろう
問題は、それを実行できるほどの戦闘レートを持ち合わせてない点で、仮にあったとしてもチュートリアル期間に行うことは不可能だ。プレイヤー間でダメージは与えられない以上、拷問作戦は不可能で――
「――ん? 待てよ、そうか! 俺がダメなら他の奴を使えばいいのか?」
俺は街をぐるぐる回りながら、頭に浮かんだアイデアを少しずつ整えていく
(この作戦で狙うべきプレイヤーには、いくつか条件ある。まずソロであること。次にレート60を超えていること。最後に迷いの森の知識が無いこと。条件に合うプレイヤーがいるかは分からないが、明日、街に朝食を食べにくるプレイヤーに接触してみるしかない)
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