てるてる坊主 3

一閃

第1話

小さな部屋の窓辺にたゆたう

てるてる坊主の顔は

泣いているのか 笑っているのか 困っているようにも見える

ずっと前に 少し不器用な君が作った

微妙な表情のてるてる坊主は

君が来ることもなくなった

この部屋で 今日も

僕の 曇り顔を 困り顔で見ているよ


梅雨の長雨に

「明日は晴れますように」

君が お願いをしていた

てるてる坊主に

「大丈夫だよ」と笑ってみせた


なぜか はずせずにいる

てるてる坊主

もう少しだけ 僕の曇り顔を見ていてくれよ

心の雲間から 細い光がさしはじめ 青空が見えて来たら

おまえも 青空に還すから


「もう 仕方ないなぁ」

君の声が聴こえた気がした

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

てるてる坊主 3 一閃 @tdngai1

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ