第5話:絶賛お邪魔しますぅ。

僕はダークエルフちゃんを人間界にお持ち帰りしちゃったわけで。

ダークエルフのエッダちゃんの支離滅裂でイケイケ感高めの性格には少し

タジタジになりながら・・・。

「アグリーフィールズ」ってところで僕を助けてくれたし・・・だから

僕も彼女を見捨てられない。


しかもいつの間にか僕はエッダちゃんに愛されてるし・・・。

どんどん好きになられて、恋人同士にされちゃってる。

でも、まあ僕もまんざらでもないから拒否も言い訳もしないから彼女にずりずり

引っ張られてるって感じ。


男は可愛い子には弱いって相場が決まってる。

ビジュアル重視、性格は二の次。

なもんで僕は学校を早退してエッダちゃんを連れて電車に乗ってウハウハで

僕んちに帰ってきた。


「エッダちゃん、ほらここが僕んち」


「シューちゃん、ここどこってところ?」


「ここは桜が丘町2丁目3番地・・・それが僕んち」

「さ、入って・・・」


って言ったまではよかったんだけど、問題は・・・今一いまいち「僕の親父」と

明日香あすかちゃん「僕の母ちゃん」にこの出来事をどう説明しよう・・・

それが問題だった。

なんとかエッダちゃんの存在を認めさせないと・・・。


家に帰ると案の定、僕がエッダちゃんを連れて帰ったことで、まず明日香ちゃんが

反応した・・・。

今太郎はまだ仕事から帰っていなかったので明日香ちゃんにだけことの真相を

少し大袈裟に説明した。


「週ちゃん・・・そんな話、お母さんに信じろって言うの?・・・」


「だよね・・・信じられる訳ないよね、こんなバカげた話」


エッダちゃんはキッチンテーブルの椅子に座ってニタニタ笑いながら

僕と明日香ちゃんの会話を聞いていた。


「そんな作り話してお母さんを騙してるんでしょ?」

「真面目に大学に行ってるのかと思ってたのに・・・女の子と遊んでるなんて、

いつからそんなふしだらな息子になったの?」

「女の子を家に連れ込むなんて・・・ああ不謹慎」


「不謹慎って・・・まあ疑われるの分かってたけど、だけどこの子を放って

こっちへ帰ってくる訳に行かないだろ?」

「ちゃんと見てよ、この子を・・・肌の色だって小麦色してるし、耳だって

尖ってるだろ?・・・こんな人間いないよな」


明日香ちゃんはエッダをしげしげと見て言った。


「この子コスピレーヤー?今流行りの?」


「それを言うなら、コスプレイヤー」


「コスピレーヤーじゃなくて本物のダークエルフ」


「だ〜く?・・・えるふってなに?」


「ファンタジーに出てくるキャラ」


「分かったわ・・・あなたその聞いたことない世界に行って、そのファンタジーな

子を連れて帰ってきた訳ね?」


「だから、さっきからそう言ってるだろ」

「とにかく、そう言うことだから・・・エッダちゃんは僕んちで面倒見るから」


「あ、紹介しとく・・・この子エッダちゃん」

「エッダちゃん・・・こっちの綺麗なご婦人は僕のお母さんの明日香ちゃん」


「明日香ちゃん・・・エッダです・・・絶賛お邪魔してますぅ」

「よろしくですぅ」


「あ、はい・・・よ、よろしくね・・・エッダちゃん」

「週ちゃん、あなたお母さんのこと綺麗だなんて媚び売って自分を有利に

持って行こうなんて姑息よ・・・そんなことで諸々誤魔化すつもり?」


「被害妄想だよ・・・だってブスじゃないだろ?」


つづく。

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