第5話 ありのまま

「明…明…明……。」


僕はまた夜中にうなされていた。


明が人混みに消えて行く夢を見ていた。



「明……!!」


目を覚ますとまた今日も可愛い顔して眠ってる明が居る。


……僕は彼女を包み込んだ。普段は真逆。



胸が痛む…。


こんなんでいいのか…。

弱すぎないか…。

…俺でいいのか。


最近、、明が隣に居ることでまた新たな不安が増えた。


『俺でいいのか。』

『他にいるんじゃないのか』

『用たさないんじゃないか』……


居ない時には居ない時の不安があって

居る時には居る時の不安があって…


眠ってる明の横で泣きそうになってベランダに出た。



『……このままふわっと行けたら。そしたらあいつは僕以外の誰かと幸せになれるんじゃないか』…そう感じていた。


ベランダの小さなカゴの上に座って煙草を吸っていると、明が起きてきた。



「…勝手に行かないで。」


僕を後ろから包み込む。


何故か分からないけど、凄く胸がドキドキしておかしくなってしまいそうだった。

僕は無意識と有意識の狭間で煙草の日を消して明を抱き寄せた…。そして…強引に唇を奪った。


「…。」

「勝手に出るなよ。」

「…強がんなくていい」

「…行かないで。」


明の寝起きはたまらなく可愛い。

この時だけ僕のモノになる。



「…明。使ってやるから。来いよ。」



―――――――――――――――。


「……」

「……」


僕らは見つめあって微笑み合っていた。

明は僕の腕の中に。



「明、、いいんだよ?明のままで。」

「ありがとう。」



―――――――――――――――――――――。




欲張り。足りない…。

僕は…今の明は望んでない…。



――――――――――――ごめん。

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