稼ぎたい…
2024年11月28日
今日はバイトが入っています。
バイトが終わった後にもらえるお金のことだけを考えながら、重い腰をあげます。
もっと積極的に働けって言われそうなものですが、嫌なものは嫌です。
本当はもう、バイトを探すことにも疲れてしまい、アプリを開くと少々の吐き気がするぐらいです。
それでも生活のため、やむ追えずアプリを開きます。
概要欄を読むのも本当にしんどくて…
いつの間に僕はこんな風になってしまったのでしょう。
今日のバイトは、あるイベントの準備を手伝うようで、六時間労働です。
7000円強ぽっちで、正直もっと効率の良さそうなバイトもあるのでしょうが、同じところでずっと立っていたり座って待っていたり、あるいはバタバタと忙しすぎたりするバイトは無理です。
イベント会場に着き、一通りの説明があり、内容は思った通りのものでした。
軽い肉体労働です。
この程度の仕事ならば、毎日でなくとも週数回はやれます。
僕の他にバイトに入っていたのは若い男女でした。
小一時間もすれば、もうこの男女がカップルである事は一目瞭然でした。
みんな黙って黙々と作業していますが、たまに「こっちの椅子を並べておいてください」とか、「ここは流れ作業でどうですか」と向こうから話しかけてくるので、「ええ、ええ、はい」と返事をして指示通りに動きます。
しかし、僕の要領が悪いせいで、少し作業が遅れるようです。若い人には敵いません。
ただ、耳はいいんです。
なので、陰口が聞こえてきます。
『あれで四十とか、終わってんだろ』
『マジでさ、ああいうのにはなりたくないわよね』
僕は無視して作業を続けます。
なんだよ、お前たちだって、十数年経てば、この立場になるんだよ。
そう憤りながら、ふくよかな女の子の身体を眺めて、考えを改めました。
僕には彼女がいたことがない…絶望的な敗北感から、自分の立場がさらに下である事を認めざるを得なかったのです。
嫉妬でしょうか…無性に攻撃性が増したように感じます。
グラグラとした足場で作業中の若い男の側を通った時のことです。
僕は突然その足場を押し倒し、男が頭から落ちました。
頭から血を流して、男はビクビクと痙攣します…
駆けつけた女の子が泣きながらパニック状態で助けを求めます。
…………
ああ、ああ、なんて事を想像してしまったのでしょう!
僕は恐ろしいことを考えた罪悪感から、残り時間は、何が聞こえても、カップルの僕に対する態度があからさまに悪くなったとしても、ただ黙々と作業をしました。
こんな恐ろしいことを考えてしまうなんて、僕はどうかしてしまったのでしょうか。
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