堕ちた鬼
かみしろんぐ~
プロローグ
あちらこちらで爆発音がし、悲鳴が常時聞こえ、命が次々へと消えていく
そんな狂気の世界で力を振るい、最強剣士と恐れられた存在
「渡瀬宗也」
それが俺である
小さいころからチャンバラごっこが好きでよく長い棒のようなものを見つければ父と遊んでいた。
父は国直属の騎士団の団員だったので挑んでは返り討ちに挑んでは返り討ちにされた
そこで学んだのだろう、父の剣技を体得していき10になるころには父を優に超えていた。
12で騎士団長様に勝つほどの腕前をほこり、そのまま騎士団長となった
そのころは楽しかった
特に争いはなく、ただ団員の大人たちを稽古するだけの毎日
毎回夜になってはみなで酒を飲み、宴をし、酔いつぶれた
そんな平和な日々を壊していったのはマモノの国、ヘルワスの国王が急死し新しい王が誕生したころだ
新しい王、ヘキサゴンはヒトとマモノとの間に締結してあった平和条約を一方的に破り戦争をしかけてきたのだ
そして現在、俺は15となりラクアエ王国内の権力は上から2番目、要するに元帥になったのである
マモノとの戦争をなんとしてでも止めるために色々と工作してみたが何かおかしい
辻褄が合わないのだ、何か強大な権力、それも国王クラスの権力が糸を引いていそうだったので一度国王の部屋を全て調べてみた。すると、
「人魔間においての戦争状態、及び兵器・人身売買に関する条約」
と書かれた書類が発見された
なんだこれ?軍のトップである俺すら知らない条約なんて…
そう思い見てみると、そこにはXXXX年からXXXX年まで戦争が行われることを規定した文章やY店製の兵器をヘルワスが全て買い取ること、XXXX年になったらヘキサゴンは国王を辞任すること、ラクアエがヘルワスに約XXX万人もの奴隷を引き渡すことなどが書かれていた
…おそらくこれで得た収入は全て国王の懐へ入るだろう
冗談じゃない、自分たちの懐を肥やすために戦争をするなんて…
命をなんだと思ってるんだ?
これはヒトがこれからも平和に過ごすための戦争なんじゃないのか?
こんなしょうもない理由のために俺の部下たちは死んでいったのか?
…俺がこの戦争を止めなくちゃいけない
俺が止めるんだ
都合のいいことに俺を慕ってくれている軍の幹部も多い、あいつらに事情を話してクーデターを起こそう
そうだ、そうしよう
自分に言い聞かせながら国王の部屋を出て急いで参謀本部まで戻ろうとしたとき、
いたのだ。
俺の目の前にいたのは、ヒト族の長とマモノ族の長が
その瞬間、視界は暗転し、意識が遠のいていくのを感じた
「おい、聞こえるか!?」
「おい!」
誰かが俺を呼んでいる
ゆっくりと目を開ける
「あ、起きた!起きたぞぉ!!」
赤く、一本の角が生えた
鬼が
そこにいた
堕ちた鬼 かみしろんぐ~ @kamisiro_ap
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