第27話
地上150mの展望台からは外の夜景はダイヤモンドの輝きに見えた。
東京タワーの中はカップルや、家族連れで賑わっていた。
暖は望奈の手をゆっくり握った。
暖かな温もりを感じて望奈は目を閉じた。
暖と手を繋ぐのは初めてだった。
春の木漏れ日のような柔らかさに包まれていた時、声が聞こえて来た。
「ちょっとあれ、吹石暖じゃない?一緒にいるのって菅野望奈?あの二人付き合ってるの?」
女の子達のグループが囁いている。
望奈は不安気な顔になった。
そうだ。こういう場所に来たら噂にならない筈はないのに、私考えなしだった……
望奈の手が微かに震えたのを、暖は敏感に感じ取っていた。
「気にするなよ。言いたい奴には言わせとけばいい」
暖はそういうと、安心させるように握った手の力を強めた。
望奈と暖は窓ガラスの前に立った。
ダイヤモンドの輝きが眼下に広がっている。
「綺麗…… 」
その時、暖の唇がそっと望奈の唇に合わせられた。
望奈はゆっくり目を閉じた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます