第25話

「暖、有難う。私、漸く咲が分かったような気がする」

「お前は分かってたよ。ただきっかけがなかっただけだ」

劇団近くの公園を望奈と暖は歩いていた。

「考えてみれば俺達デートした事なかったな」

暖が不意に言った。

望奈も立ち止まる。

「そう言えばそうだね…… 結構一緒にいるのにね」

「今度デートしよう。望奈、何処行きたい?」

「東京タワーに行きたい」

「いいよ。じゃあそうしよう」

「今度のオフいつ?俺は来週土曜日、午後から空いてるけど」

「私も午後からオフ」

「じゃあ、その日にしよう」

暖はゆっくりと望奈を抱き寄せた。

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