第22話

望奈は結局、鍋だけ付き合った後で父親の車でマンションに戻った。

「話途中になったけど、どんな子なんだ?」

父親は車を運転しながら言った。

「優しくて思いやりがある人。でも演技の時には厳しいの」

望奈は助手席のシートに持たれていた。

リクライニングが悪い。

白の軽トラックに"菅野整備工場"と書いて

ある。

「そうか。それは良かったな」

「うん」

夜の闇にマンションが見えて来た。

「お茶でも飲んで行く?」

「いや、止めておく。こういう煌びやかなのは性に合わん」

父親の言い分に望奈は笑った。

マンションの前で車が止まった。

「じゃあ望奈、元気でな」

「父さんこそ身体気をつけて」

望奈が降りると車は行ってしまった。

望奈はマンションの玄関のドアを暗証番号で開けると中に入って行ったのである。

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