第20話 あたたかい絆

 ――その後、イチの兄・レイ。

 「善かった。あの子なら、きっと…」レイはそっと微笑んだ。

 弟の成長を見届けることができた喜びが、その表情に滲んでいた。

 その顔は嬉しそうに微笑んでいた。

 ザッ、と音がした。

 彼が振り向くと、そこに居たのは隊長だった。

「レイ様、戻ってきてください。イチ様がお呼びです」


 それから、レイは次々と指示を出し、忙しそうに動き回りながらも、時折楽しげな笑顔を浮かべていた。

 今の彼には、かつての孤独はもう感じられなかった。

 『アリス、こっちを頼む!』とテディが声をかけ、アリスが元気よく返事をする。

 彼らが本名で呼び合うたび、そこには深まった絆と信頼があった。

 イチも、サンも、ニも、本名をしっかり名乗りながら、楽しそうに仲良く仕事をしています。

 イチの名前はノア・アダム。

 レイは、レイ・アダム。

 ニは、テディ・アラン。

 サンは、アリス・ホワイト。

 イチは頭を下げながら、真剣に一人ひとりに謝って回った。

 その姿はどこか滑稽で、レイは思わず笑い声を漏らしてしまった。

 『兄さん、笑わないでよ!』と顔を赤らめるイチの様子に、二人の間にある暖かな絆が感じられた。

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ラピシャスの庭園 @sakuramboooooom

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