惜春【せきしゅん】
第9話
4月も残すことあと数日となり、高校入学から早1カ月が経とうとしていた。最初は、よそよそしかったクラスメイト達も少しずつ打ち解けていきクラスの雰囲気も賑やかになりつつあった。
「杏璃はゴールデンウィーク何する予定なの?」
お昼の時間になり、いつものように机をくっつけ紗希と向かい合わせになりながらお弁当を食べていると、もうすぐ訪れるゴールデンウィークの予定を聞かれた。
幼少期の頃は家族で旅行に行くことが多かったのだが、桃璃や杏璃が成長していくにつれ、友達との時間が増えてきた為、なかなか予定が合わなくなり旅行に行くのは休みが長い夏休みにしようという話でまとまった。
「特に決めてないかな。紗希ちゃんは部活?」
「うん。でも最終日は休みだから、もし予定入れてないなら遊びに行こうよ!」
「うん!行きたい!」
紗希は、放課後や土日は基本的に部活動があるので、2人が休みに遊びの約束をするのは今回が初めてだ。
「よし、決まり!杏璃と行きたいところいっぱいあるんだよね〜。どこ行こう!」
嬉しそうにスマートフォンの画面を弄りながら「ここも行きたいけど、こっちも気になる...。」と呟く紗希はスマートフォンで行き先を検索しているのだろう。
もう少ししたらゴールデンウィーク...学校が休みということは、学校以外で関わりを持たない林くんとは、しばらく会えなくなるということ。休みは嬉しい反面、林くんに会えない日々を思うと寂しく感じる。
「杏璃、どうかした?」
無意識に寂しい気持ちが表情に出てしまっていたのか、心配そうに紗希が杏璃の顔を覗き込んでくる。
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