後編 二人と満月の夜

 彼女の紡いだ物語りはとても悲しく、苦悩に満ち溢れていたが、とても懐かしむ様でもあった


「どう?私の事分かってくれた?」


 そう言った彼女の顔はにこやかに慈愛に満ちた表情でいった、その時、月は明るく私たちを照らしていた。


 私は彼女に近づき彼女を抱きしめる


「頑張ったんだね、お疲れ様」


 私には抱きしめて彼女を労うことしかできない、でもそれで彼女が少しでも救われるならそれでいい


「楓、ありがとう」

「違うよ、私は叶、今貴女のことが愛しくてどうしようもない女の子だよ」

「そっか、私の楓じゃないんだね」

「そうだよ、でも私は……ううん、また今度会った時だね、バイバイまたいつか」



 夢から醒めた、不思議と夢のことを覚えている。忘れないうちにこの一人の愛しき 

 吸血姫について綴ろうと思う。


 その日の月は淡く光っていた


 雪が降り始める季節、薔薇の香りのする愛しの吸血姫に再会した


「あの夢以来ですね、紅華さん」

「そうだね、久しぶり、叶」

「そういえば、あの楓って人だれですか?」

「私が初めて血を吸った人だよ。それから50年に一回くらい現れて、なんか仕えてくれてる」

「なんかすごいですね」

「そうだね」


 たぶん彼女も私と同じでこの薔薇の香りがする素敵な吸血姫に魅了されたのだろう


「あの、こ、紅華さん!つ、伝えたいことが」

「なに?」

「私と、と、友達になってくだしゃい!」

「こんな私でいいなら喜んで」


 噛んだ……勇気出したのになんか締まらないな、まいっか!


 吸血姫に誘われて夜の街に沈んでいく


 その夜の満月は見たことが無いくらい明るく輝いていた



 ~読んでいただきありがとうございます。

 感想や、改善点、たくさん待っています。☆と♡ぜひ付けていただけると嬉しいです。ついでに現在同時執筆中の別シリーズも見て下さると嬉しいです~

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吸血姫に誘われて だしまき @dashimakitamago2009

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