中編 吸血姫の苦悩

 私は、はるか昔からここに居たのだろう私が何者かも分からない、そんな私でも分かることが一つだけある、それは『人の血を吸わないと生きていけない』こと、だが幸いな事に身の回りには人がたくさんいた、恵まれているのか居ないのかわからないが、たくさんいた。


 三日に一回か二回くらい人を攫い血を吸う、そんな生活を繰り返していると、人から恐れられる恐怖の対象になった。


 だが私には不思議な力があった、手から火を出せたり、空を飛ぶ事だって出来た、そうして私は、恐怖の対象ではあったが、信仰の対象ともなった、だが私は満たされなかった。


 何年も何十年もしていると、人々は信仰心を忘れ、恐怖のあまり私を殺そうとして来た


 あれは桜の舞い散る美しい季節だった、私の不思議な力に恐れた人々は私を殺そうとし、襲って来た、が、私の敵では無かった、いつの日か献上品として送られた刀を両手に持ち、舞を舞う様に、襲ってくる人々を切り殺す、いつのまにか襲って来た人で血の海と死体の山が出来ていた、そんな様子をただずっと佇んでいた桜といつの日か、いや私が最初に襲い血を吸った子が見守っていた。


「あらこんなところで会うなんて運命かしら?いやこれもまた必然か」


 その子は言った私に貴女の事を教えてと




  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る