セリアラの生活
セリアラも少女姫と同席して同じ授業を受けていた。
セリアラは少女姫とは逆に手先は器用だったが少女姫ほど頭は良くなく、地理や歴史の勉強についていくのはなかなか大変だった。
さらにセリアラには侍女としての勉強もあり、かなり大変だ。
掃除・洗濯・料理。備品を点検・補充する方法。帳簿の付け方。
姫には不要だが侍女には必須である。特にセリアラは将来は筆頭侍女になると目されていたので、得手不得手はあっても一通りのことは出来るよう教育されていた。
そして、セリアラにとって最も重大な課題があった。それは、少女姫の日頃の言動を観察し、真似ること。
すなわち、少女姫の影武者になる訓練である。
・・・
そもそもセリアラが少女姫と同じ授業を受けるのは、「庶民であるセリアラにも姫と同等の高度な教育を受けさせてやろう」などという温情によるものではない。
セリアラには、将来、少女姫の影武者になることが期待されていたのである。
しかし、外見は変装すれば似せられるだろうが、立ち振る舞いや発せられる言葉・知識は一朝一夕には真似できない。
そこで、勉学も少女姫と共にし、それ以外でもなるべく少女姫に付き従うよう指示されているのである。
普段着ている服が侍女用の服でなく少女姫と同じような服であるのも、その一環である。
幼い頃からそう教えられてきたセリアラにとって、立派な影武者を目指すことは至極当然の目標になっていた。
少女姫の勉学に付き合いながら侍女としての修行を一緒にこなすのは大変なことだったが、大好きな
そういう健気で頑張り屋さんなところは少女姫とよく似ており、周囲の人々もセリアラを温かい目で見守り応援していた。
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