第10話

小学校4年の時。


スバル君がギターを買った。年が四つ上だったスバル君。今考えれば、中学二年生がギターに手を出すなんて自然な……そう。自然な男のロマンなんだけど。



「ABCDEFGぃ~♪」


アルファベットの歌はそこまでしか歌えなかったけど、スバル君がデタラメに弾くギターでうたう歌が好きだった。


うちのスバル君はギター弾けるんだよ!って色んな友達に自慢したりもした。





だけどスバル君は一年もするとギターにも飽きて、弾いてくれなくなってしまった。彼女が出来て、ギターなんかいじってる場合じゃなくなったんだ。



スバル君の部屋の片隅で埃をかぶっていくギター。




あまり家に帰ってこなくなったスバル君。

俺たち2人のデタラメなアルファベットの歌を歌った楽しい記憶にも、埃がかぶっていくような気がしてさみしかった。




またスバル君にギターを弾いて欲しかった。

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