第26話
まもなく悠の退院の日が来た。
悠は遙からチューリップの花束を渡された。
「いつも中庭でチューリップ見てたから」
「ありがとう。笹倉先生」
悠は柔らかな笑顔で花束を受け取った。
「お大事にね」
「笹倉先生、カンファレンス始まります!」
看護師の声が飛んだ。
「分かってるって、直ぐに行くから!」
「外山さんなら大丈夫。信じてるからね」
遙は両目に強い光を見せた。
それが和らぐと、とても優しい光に変わった。
「じゃあ…… 」
遙は笑顔を見せると、そのまま廊下を突っ切って行った。
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