6 デスゲームの開始と終了④

 四人はその情報を見て、しばらく呆然としていたが、子供と老人が同時に口を開いた。


「ねえ、ひまー!」

「せっかく時間が余ってますし、どなたが殺したかみんなで考えませんか?」


 奇しくも問題と解決が同時に提案されたのだ。異議を唱える者はいなかった。


「まずは凶器から考えましょうか。スリングショットと猟銃であれば、部屋が密室でもドアの小さな穴から殺すことができます」


 女と男がそれに反応する。


「子供の背では届きそうにないですね」

「いや、バールなら子供の背でも届くんじゃねえか?」

「ドアをノックして穴に近付いたところを、バールでズドン! だね。できると思うよ」

「毒薬はどうでしょう? 覗き穴から薬を渡すことはできそうです」

「どくで口に血が付くのかな?」

「吐血の症状が出る毒はありますよ」

「デスゲームの相手に渡された薬を、ほいそれと飲む馬鹿はいねえだろ」

「どうでしょう。女性が服を脱いで『私と協力したら見返りに体を差し出します』なんて言って精力剤と偽って薬を渡せば、可能性は否定できないのでは?」


 三人の視線が一斉に女に注がれる。女はバツの悪そうな顔をした。男が話題を変える。


「ロープで自殺した線は?」

「自ら息を止めたとして、口元に血が付くのは不自然です。第一、死体の周りにはロープがありませんでした」

「……そうだ、首輪を無理に外そうとして毒針で死んだってのはどうだ?」


 全員が押し黙り、可能性を吟味する。


「その場合は、花瓶の横に現れたカードキーが問題になりそうですね。時に皆さん、カードキーは?」


 テーブルの上に四枚のカードキーが差し出される。そこにはそれぞれ『A』『B』『C』『D』の文字が刻まれている。


「やはり、あのカードキーは亡くなった男性のものですね。他の人が下見していた時、位置情報は見ていた人は?」


 全員が手を挙げる。


「となると、おそらく全員が自分の巡回以外で部屋に出ていません。不審な動きをしている位置情報があれば気が付いたでしょう。

 被害者の巡回は最初でした。つまり、その後にカードキーを被害者自身が部屋から持ち出すことはできません。したがって、持ち出した人間――犯人がおそらく他にいると考えられます」

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