6 デスゲームの開始と終了②

 まもなく、一室の前に四人のプレイヤーが集まった。筋骨隆々の男性、セーラー服の女性、老人が順に覗き穴から部屋の様子を確認する。子供は覗き穴に背が届かなかったので、男性が抱っこして様子を見せた。

 老人が子供に見せるのに反対したが、子供が頑として譲らなかったため、渋々見せることになったのだ。


 部屋の中には、サラリーマン風の男の死体があった。しかし、素人目には生きている人間との違いは分からない。四人には本当に死んでいるのか、それとも倒れているだけか、目視では判別はできなかった。寝ているような死にざまだった。

 観葉植物に飛び込むように倒れており、顔はこちらに向いていた。ただ、頭部が植物に隠れており、口元しか見えない。観葉植物にも血の付着はなかった。

 外傷の有無は分からないものの、その口元には血が付着していた。首には他の参加者と同じく、首輪状の装置が付けられている。


 部屋の扉は開きそうになかった。ロックがかかっているのだ。


 部屋の様子には、もう一つ、不可解な点があった。覗き穴からはベッドが見えなくなっていた。他の四部屋は間取りや物品の配置が同じであり、この部屋も同様であれば、ベッドは覗き穴から見える範囲に置かれていたはずだった。覗き穴の死角は扉の真下のみであるため、ベッドは扉を塞ぐように置かれている可能性が高かった。扉はうち開きのため、仮に錠が開いていてもベッドが邪魔して扉を開けなかった可能性があった。


 その後は全員で固まって建物の中をもう一度巡回したが、取り立てて変化はなかった。二点、南端の花瓶の足元に落ちていた花びらの枚数と、その横にあったカードキーの有無について、それぞれが巡回した時と状況の相違が見られた。

 カードキーは巡回時、白鳥のみが存在を確認したと証言する。全員で巡回した際も、花瓶の横に変わらず存在していた。

 ただし、カードキーの裏側はチップが抜き出された跡があり、外から佐藤の部屋の扉を開錠することはできなくなっていた。

 四人はここに来てから見知ったことを互いに話した。細かな違いはあるものの、大きな違いはないように思えた。


 主催者と思われた仮面の男からは、一向に何のアクションもなかった。

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